ソフトウェア・シンポジウム 2020 (オンライン開催)

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ソフトウェア・シンポジウム 2020 で 15 年目を迎えるワーキンググループでの活動は,ソフトウェア技術にまつわるさまざまなテーマや課題に関する発表,議論を行うことで,参加者やグループがそれぞれの方向性を見いだしていくための場です.昨年から継続して,参加者のさまざまな要望に応えるために,ワーキンググループ (Working Group : WG) の他に,チュートリアル (Tutorial Session : TS) も用意しました.

今回はオンライン開催となりますので,開催時間はワーキンググループ,チュートリアル毎に違います.概要,運営方法,開催時間を確認のうえ,興味のあるワーキンググループあるいはチュートリアルにご参加ください.多くのみなさまの参加をお待ちしております.

WG名前
1 (FM) 実践!形式仕様言語を用いたモブプログラミング
2 (DL) PMO・レビューアのための場を作る対話法を考えてみよう ~福祉分野で話題の対話法をソフトウェア開発へ~
3 (TD) 「技術的負債可視化簡易調査票」の試作
4 (QA) 新しい品質保証のかたちを目指して in SS2020
5 (ET) 探索的テストのコツ ~チャーターの活用術~
6 (TS) エンジニアのトリセツ 4:コミュニティ型のチーム活動について考える ~COVID-19 対策サイト開発の謎に学ぶ~
7 (TE) テレワーク時代の技術者育成 ~教えないでスーパーソフトウェアエンジニアを育てる~
TS名前
1 (OF) エンジニアの為のオンラインでの場作り

(順序不同,英字二文字は略称)

WG1: 実践!形式仕様言語を用いたモブプログラミング

リーダ: 張 漢明 (南山大学),小田 朋宏 (SRA)

概要:

 ソフトウェア開発において「仕様」は、(1)プログラムの正しさを調べるための基準、(2)要求を満たすかを調べるための基準、としての2つの役割があります。仕様は初めから確定しているわけではなく、開発を進める過程で試行錯誤の結果として得られます。仕様記述では、「抽象」と「捨象」の思考と記述が最も重要です。形式仕様言語は、UMLに代表されるモデリング言語と同様に、対象をモデル化するための道具です。本WGでは、仕様の段階でプログラムとして動作する記述に主眼をおいて、モブプログラミングを通して形式仕様言語の特性の理解と、実用的な開発現場での利用促進について議論します。形式仕様に関心がある方のご参加をお待ちしております。

想定参加人数:

10名

参加の条件:

ソフトウェア開発における仕様もしくは形式仕様に関心がある方。仕様を記述する課題に沿って、実際に形式仕様言語を用いて仕様を記述する過程をモブプログラミングとして体験して頂きます。仕様記述の対象は予め用意しますが、内容は参加者と事前に検討する予定です。形式仕様言語は、VDMを用います。モブプログラミングを通して、形式仕様に対する期待・課題・問題を議論したいと思います。議論のみの参加も募集します。

運営方法・備考:

開催時間:6/18(木) 14:10~17:30,19:00~21:00
内容:形式仕様言語を用いたモブプログラミング

メーリングリストのアドレス: ss2020-fm @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG2: PMO・レビューアのための場を作る対話法を考えてみよう
~福祉分野で話題の対話法をソフトウェア開発へ~

リーダ: 日山 敦生 (緑匠研究所)

概要:

 福祉分野では、被支援者と信頼関係を築くことや、支援する関係者間で協働関係を築いて、支援していくことが求められています。これは、ソフトウェア開発でいえば、レビューアやPMOに相当すると思います。

 そこで、今、福祉分野で話題のふたつの対話法を、ご紹介したいと思います。ひとつは、早期ダイアローグで、相手に対する心配事を自分の心配事として伝える対話法です。もうひとつは、未来語りのダイアローグで、望ましい未来から振り返る対話法です。フィンランドで30年以上の歴史がある、今までの常識を破る対話法をもとに、みなさんと考えてみたいと思います。

想定参加人数:

5名以上

参加の条件:

PMO・レビューアに、興味・関心がある人

運営方法・備考:

開催時間:6/18(木) 14:10~17:00
     6/19(金) 9:00~12:00
形式:ワークショップ形式

その他:

参考文献
 (1)早期ダイアローグ(Early Dialogues)
  ~支援者の心配事を取り上げて、協働関係の構築を目指すアプローチ~
  http://www.nivr.jeed.or.jp/download/vr/vr27_essay11.pdf
  独立行政法人 高齢・障害。求職者雇用支援機構
 (2)未来語りのダイアローグ(Anticipation / future Dialogues)
  -繋がりと希望を創るミーティング-
  http://phenomena-in-nursing.com/files/2018/04/2018-E5.pdf
  兵庫県立大学看護学部臨床看護研究支援センター

メーリングリストのアドレス: ss2020-dl @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG3: 「技術的負債可視化簡易調査票」の試作

リーダ: 馬場 辰男,伊藤 順一,三輪 東 (ソフトウェア・メインテナンス研究会)

概要:

初期開発後,長年稼働し続けているITシステムが少なくありません。それらシステムには,その間暫定対応のままとなっているソフトウェアの改修や文書化の更新等で取り残された作業が,予算や人員の不足で多く残っている状況のものもあると考えられます。このような本来実施しておくべきだが,できていない残作業を「技術的負債(TD)」( https://ja.wikipedia.org/wiki/技術的負債 )と呼びます。TDの代表例としては次のモノがありそうです。

・バックログ(インシデント対応や暫定対応に対する恒久対応含む)
・不十分な文書化(不統一,不整合,記述不足,誤記載の修正対応含む)
・ソフトウェア保守委託先の対応漏れ
・プログラム複雑度指数の高騰
・担当者のいないブラックボックス化部分の広がり
・不十分な要員育成(欠員時,適切な交代要員がいない)

などです。TDの可視化は,ITシステムが抱えるTDの残債がどの程度あるかを客観視(含む金額ベース)するうえで有効だと考えます。しかし,IT部門の責任者や管理者は,今抱えてているTDの残債を白日の下に晒すことに抵抗感を持つかもしれません。その原因の説明と対策を責任者として求められるからです。TDを可視化できる簡易的なキットであれば,TDを機能やサブシステムの単位に可視化でき,まずは個別の発生原因の説明や具体的対策立案にも利用できそうです。

想定参加人数:

10名程度

参加の条件:

「参加条件」及び「ポジションペーパの準備」はありません。

運営方法・備考:
開催時間:6/18(木) 15:00~17:00

リーダが持参するキット(調査票)のプロトタイプを,多様なお立場の当WG参加者の皆さんによるレビューでブラッシュアップできればと考えています。

メーリングリストのアドレス: ss2020-td @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG4: 新しい品質保証のかたちを目指して in SS2020

リーダ: 西 康晴 (電気通信大学),常盤 香央里 (グロース・アーキテクチャ&チームス),大野 泰代 (オープンストリーム),山本 久仁朗 (ビズリーチ),三輪 東 (SCSK)

概要:

今年もやります,新しい品質保証のかたちをめざして.

SigSQAでは2018年4月期のキックオフ以降(https://sea.jp/p/2433#more-2433),伝統的なSQA(ソフトウェア品質保証) の利点や問題点をふりかえりながら,新しいSQAをどう実践していくべきかの議論を重ねてきました.経営を強固にし,会社やプロジェクトから必要とされるSQAのかたちはどういったものかを考えています.昨年のSS2019in熊本で集ったメンバーとこの活動に共感してくれるメンバー(大学・コンサルタント・Agile開発・パッケージ開発・ウォータフォールSIなど多様なメンバー)を通じ,この1年間,10回以上のワークを行ってきました.そこでのキーワードは「納得感の共感」.経営と現場が一体となり,QCDSME,質(Q),コスト(C),量・納期(D),安全(S),モラル(M),環境(E)を共に創る品質保証であるべきという考えです.それらを実現するために,具体的には何が必要なのか,悩む現場は多いと想像します.そこで,みなさまと「新しい品質保証のかたち」を議論したく,本ワーキングを提案します.一緒に考えていただける方,ぜひ,お力をお貸しください.

想定参加人数:

30名

参加の条件:

SQAに興味を持たれている方々であれば,条件は問いません.

SQAがよく分からないという方,SQA は不要という方,SQA に関して一家言のある方,自分たちのSQAは素晴らしいという方,SQAで悩んでいるという方,すべてWelcomeです.

開催時に自己紹介していただきます.その際,ご自身のお立場とSQAに関する悩み・意見を伺いますのでご準備下さい.

運営方法・備考:

時間帯は
 6/18(木) 14:10~18:00 ワーキング1日目
 6/18(木) 19:00~21:00 Zoom情報交換会(飲み)
 6/19(金) 9:00~16:00 ワーキング2日目
で開催します.

開催方法は以下の通りです.

Zoom、MIRO(https://miro.com/)を利用します.MIROのアカウントを作成してご参加ください.MIROの操作は,当日の自己紹介で演習をかねて行いますので,不慣れでもご安心ください.

自己紹介のあと,これまで我々が議論してきたことをプレゼンにて共有いたします.以降,その内容とみなさまの体験を重ね合わせながら,新しい品質保証のかたちを考えていきます.

運営は,参加人数にあわせ最大10名/1グループに分け,MIROを活用し,付箋などを共有しながらワーキングを行います. WGからファシリテーターをアサインしますので,安心してご参加ください.

メーリングリストのアドレス: ss2020-qa @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG5: 探索的テストのコツ~チャーターの活用術~

リーダ: 根本 紀之 (東京エレクトロン)

概要:

探索的テストを実施している企業も増えてきていますが、チャーターをどれくらいの粒度で書けばよいか悩んでいるところは多いと思います。このワーキンググループでは参加者のチャーターをいくつかのタイプに分けてメリット、デメリットやどんなチームにフィットするかなどを議論したいと思います。

参加者が自分のチームやメンバーの状況に合わせてチャーターをある程度デザインできるようになるのがゴールです。

想定参加人数:

4~12名

参加の条件:

特になし

運営方法・備考:

開催時間:6/18(木)14:10~18:00 ワーキング
     6/18(木)19:00~21:00 Zoom情報交換会(飲み)※ 合同もあり

2つくらい題材を用意して、チャーター作りとテストを繰り返す予定です。
・チャーターの話(30min)
・お題1のチャーター作成+意見交換(45min)
・ふりかえり(30min)
・お題2のチャーター作成+意見交換(45min)
・ふりかえり(30min)
・チャーターに大事なものまとめ(30min)

メーリングリストのアドレス: ss2020-et @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG6: エンジニアのトリセツ 4:コミュニティ型のチーム活動について考える
~COVID-19 対策サイト開発の謎に学ぶ~

リーダ: 松尾谷 徹 (デバッグ工学研究所),増田 礼子 (フェリカネットワークス),古畑 慶次 (デンソー),辻 達諭 (L&Cトレーニング),森本 千佳子 (東京工科大学)

概要:

IT 産業界や学界は,プロジェクトやチームの生産性向上を目指し,何十年も努力を続けてきました.近年の「労働時間を短縮して生産性を上げる」との無茶振り要求にも善処してきました.そのような時に「新型コロナウイルス感染症対策サイト」(本 WG では,「COVID-19 対策サイト」と呼びます)が信じられない爆速開発で現れました.しかも,詳細が OSS として公開されたのです.2 月 29 日に開発を開始し,3 月 5 日にリリース,続いて Fork 版などさまざまな言語対応などの強化も爆速で行われています.

本 WG では,この事例などを参考にして,パネル討論会に近い形態で開催し,「コミュニティ型のチーム活動」におけるチームワークやモチベーションについて討論します.コミュニティ型のチーム活動とは,雇用や契約など強いロイヤリティによる結束では無い関係での活動を意味します.具体的な例としては,OSS開発・学会・PTAなど社会的に認められた活動や,社内での勉強会など有志による活動があります.これらの活動は,インターネットを介して活発化し,新たなチームの活動形態が生まれ,チームワークやモチベーションも変化してきています.

本 WG では,いくつかのパネル発表を基に,コミュニティ型のチーム活動について討論していきます.

<OSS開発における事例>
- 「コミュニティ型チーム活動の進化 ~ COVID-19 対策サイト開発から学ぶ~」★
- 「オープンソース・ソフトウェア開発コミュニティにおけるライフサイクルの視覚化」★

<企業における学習するコミュニティ事例>
- 「ネットワーク型データ構造による SW 部品の関係の可視化 ~SW 部品選択におけるグラフ DB の適用と評価~」★
- 人材育成とコミュニティ

<対人関係とコミュニティ>
- 大学生から見たコミュニティ
- コミュニティにおける民主的な問題解決アプローチ

など

 注) ★印:SS2020の本会議にて発表あり.

コミュニティ型のチーム活動についての討論を通して,エンジニアとしてのコミュニティ活動の活用を考えていきましょう.

想定参加人数:

10名前後

参加の条件:

・参加条件は特に定めません.
・パネル発表者を募集いたします!

運営方法:

Zoomによるオンライン開催

開催時間:

・6/18(木) 14:10-18:00 : WG −パネル発表と議論
・6/18(木) 18:10-19:00 : アフターWG 意見交換会(自由参加)

その他:

WG に関連する資料は当日の画面共有とは別に提供予定です.

メーリングリストのアドレス: ss2020-ts @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG7: テレワーク時代の技術者育成 ~教えないでスーパーソフトウェアエンジニアを育てる~

リーダ: 米島 博司 (パフォーマンス・インプルーブメント・アソシエイツ)

概要:

新型コロナウィルスによる企業でのテレワークや学校など教育機関での遠隔授業など、従来の集合型同期型(リアルタイム)の教育スタイルは大きく返還を迫られています。本来学習行為は個人の自律した行動であり、周囲の人と同じペースで進めたり、必然性もなく集合する意味はありません。

こうした社会状況を考慮しながら、参加者が持ち寄る以下のような事例や提案などについて議論します。

・ソフトウェア技術者の育成・教育に関する事例研究
・ソフトウェア工学に関する既知の知見をIQとして修得するだけでなく、感性豊かで創造的な能力(EQ)やメタ認知能力を修得するための教育環境、実務環境

想定参加人数:

10名程度

参加の条件:

ポジションペーパーの提出:自己紹介と発表事例の概要をスライド2~3枚にまとめて6月5日(金)までに提出してください。ポジションペーパA41ページ程度

運営方法・備考:

参加者全員の発表と全員参加の議論。

メーリングリストのアドレス: ss2020-te @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

TS1: エンジニアの為のオンラインでの場作り

講師: 森 薫子 (株式会社 B),玉城 理恵子 (富士通クラウドテクノロジーズ株式会社)

概要:

今回のコロナ禍で増えたオンライン会議を踏まえ、今更聞けないオンライン会議のマナーの確認、どう運営していくか、上手なファシリテーションとは、などを考える。

参加の条件:

ご参加の前提条件はありません.

運営方法・備考:

開催時間:6/18(木)14:30~17:00(予定)

2時間程度をイメージしております。
参加者の皆様の状況に合わせて、時間や進め方は柔軟に対応する予定です

メーリングリストのアドレス: ss2020-of @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

メーリングリストのログを取得する方法

メーリングリストのアドレスの名前の末尾に "-ctl" を付加してこれを宛先として,メールの本文の先頭を get 1-last としたメールを送ると,ログを取得することができます.

例えば,“WG1 実践!形式仕様言語を用いたモブプログラミング”の場合,メーリングリストのアドレスが ss2020-fm @ sea.jp ですから,宛先は ss2020-fm-ctl @ sea.jp,本文は get 1-last となります.

このときに,メーリングリストに登録されたメールアドレスからしか取得できませんので,ご注意ください.

get の代わりに help を送ると,メーリングリストの使い方が返送されます.