©長崎県観光連盟

基調講演(1) ... 1日目(6/12) 12:45-14:00

講演題目:FRAM/SpecTRMを使った宇宙ステーションの異常予兆検知
講演者:野本 秀樹 氏(有人宇宙システム株式会社(JAMMS) 安全開発・ミッション保証部 IV&V研究センター)
司会:日下部 茂 (九州工業大学)
概要:
21世紀に入り新たに発見された「惑星間スーパーハイウェイ」と呼ばれる超低燃費軌道、さらに、人工衛星カッシーニによって検出された土星の衛星エンケラドスから噴出する水中のリン(生命の存在を示唆)の発見によって、太陽系内惑星間航行の夢が大きく膨らんでいる。
我々は、こうした深宇宙探査時代の幕開けに向け、最も重要となる技術開発に取り組み始めている。それは、宇宙船の異常が発生する前にその予兆を検出し、故障させずに保存・回復させることのできる技術である。故障の予兆を迅速にとらえるために必要な技術は二つである。機器のステータスから故障検知するのではなく、周辺環境の多数の状態から総合的に故障予兆を見出すための検出技術、及び、その検出根拠を人間にわかりやすく示す技術の二つである。
前者を機械学習を使い実現し、後者をフォーマルメソッドを使い検証するという特許技術を使い、国際宇宙ステーションのテレメトリデータの解析を行った結果について概説する。

基調講演(2) ... 2日目(6/13) 11:30-12:45

講演題目:漁業者支援サービス「トリトンの矛」
講演者:水上 陽介 氏(オーシャンソリューションテクノロジー株式会社 代表取締役)
司会:峰松 浩樹 (ランカードコム)
概要:
本サービスは、漁業におけるDX化の実現に向け、現場に負担を与えない漁獲報告と管理漁業を目指すために、過去及び現在の操業日誌データ(いつ/どこで/どの魚がどれくらい獲れたか)と衛星データ(気象/海水温/潮流)等をインプットデータとし、従来手書きであった操業日誌の電子化や、行政への電子的な漁獲実績報告書の提出を実現します。
さらに、世界の水産資源管理に必要とされ、資源評価及び資源管理に重要な CPUE(Catch Per Unit Effort:単位漁獲努力量当たりの漁獲量)の為の漁獲努力量(Effort)を世界で初めて自動で情報収集し、これらのデータを AI で解析し、今日漁に出るべきか否かといった操業提案をすることで、ベテラン漁師の経験や勘を次世代に継承することを支援いたします。
オーシャンソリューションテクノロジーは、スマート水産業により水産資源の持続的利用と水産業の成長産業化を両立した次世代の水産業の実現を目指します。

基調講演(3) ... 3日目(6/14) 13:30-14:45

講演題目:長崎の見方・食べ方・歩き方 -長崎らしさとは何か?-
講演者:水嶋 英治 氏(長崎歴史文化博物館 館長)
司会:中野 一英 (NDKCOM)
概要:
 生粋の長崎人が長崎を――内側から――見る場合と、よそから来た人(よそもん)が長崎を――外側から――観る場合とでは,おそらく異なる観方をするでしょう。長崎の理解のしかたを仮に「長崎観」と表現するならば、長崎観は時代とともに変化しますし、また現地人と観光客の間では「長崎観」の視線は確実に異なります。大袈裟に言えば、生き方も異なるものです。「じげもん」対「よそもん」の視点もそうですし、「世界の中の長崎」もあれば、オランダ、中国をはじめとする「長崎の中の世界」も存在します。それが長崎の特質だと思います。
 坂の町・長崎とともに生きる人たちと、長崎に数日間滞在して帰宅する人とでは、当然のことながら、生き方が違います。しかし、風光明媚な景色を眺め、うまいものに舌鼓を打ち、山あり、海あり、祭ありの長崎で生きていくことの素晴らしさを毎日味わっている長崎人は、その素晴らしさを「おもてなし」の形で観光客に提供し、鎖国時代であっても出島の頃からの多くの異人たちを受入れ――それが観光客であろうがなかろうが、貿易商であろうがなかろうが――、もひとつおまけに、宗教が異なろうが、うまく生き抜いてきました。一方では、「来る者は拒まず」の長崎があり、他方では「去る者は追わず」の長崎があります。
 「長崎らしさとは何か」という問いに対して、いまだに、私なりの答えは出ていません。長崎人に「長崎らしさ」とは何ですか……?と逆に質問すると、「ちゃんぽんかな」とか「和華蘭かな」という漠とした答えが返ってきます。高名な歴史家に長崎の本質は何かと聞いても、わかったような、わからないような、答えばかり返ってきます。やはり、長崎の捉え方は十人十色のようです。横浜生まれの横浜育ち、ハマッ子である私が「よそもん」の視点から見た長崎の見方・食べ方・歩き方について全国からお集まりになる皆々様方にご紹介したと思います。