感想 牧野憲一 (バルトソフトウェア株式会社) ■はじめに 上海の訪問は昨年の”皆既日食”以来となり、ちょうど1年ぶりの訪問であった。 今年も暑い上海であったが、上海万博が開催したこともあり、地下鉄の開通、延 伸をはじめ、1年間での変化は激しく、益々熱気を帯びた上海と感じた。 個々の発表テーマへのコメントより、イベントを取り巻く周辺のレポートを中 心に感想を交えていく。 ■上海フォーラム(7/22) 数えて5回目の上海フォーラムとなった。元々、上海に居られる日系企業のソフ トウェアエンジニアを対象に”日本語で聴けるフォーラム”としてスタートした。 海外に居られてなかなか日本語によりソフトウェアの最新動向を語る機会はない だろうとの思いであった。5回目を迎えられたのは本当に嬉しいことである。 でも、SIGEDUからの参画が私だけなのは残念である。 今回は、3名の発表、話題提供があり、後半は質疑応答、意見交換ができた。 当初スピーカーを予定していた、華東師範大学の李先生がアクシデントにより発 表できなくなったのは残念だが、東さんが見事に代役を勤められた。 特に、アニメーションをネット上のコラボで創り上げていく事例を見せていた だけたのに感動した。技術と行動力のある技術者が自分の時間を持ち出して、知 らない人とのコラボ製作はネット社会の新しいスタイルと言えよう。 中野先生のオープンソースの発表でも、オープンソースに対するコミュニティ の存在の話があったが、コミュニティを通じて議論し、新しい展開を繋げている のは、東さん発表のアニメ製作と通じるところがあると感じた。 岸田さんの発表テーマであるImmaterial Laberは、2007年CCSEに併設したIWSFT (杭州)で初めて聴いたキーワードである。ISOやCMMI等のモデルで開発方法を 規定し、ソフトウェアの開発がどんどん工業生産化している中で、如何に創造性 を発揮して業務に取組むかの心の持ちようは重要である。 夕食は外灘近くのレストランであった。東さんの奥様がガイドをされているそ うで、有名なレストランを予約してくださった。とても美味しくいただいたあと、 ほんの数分歩けば外灘にたどりつけた。長い間、外灘は工事していたが、工事が 終了し、とても綺麗になっていた。高速道路の入り口があったが、今回の工事 で撤去し、観光重視にしたとか、さすが中国政府である。凄い。外灘から見た浦 東の夜景を早速パソコンの背景に採用した。とても心が和む。 ■無錫ワークショップ(7/23-24) 上海虹橋駅まではタクシーに分乗して向かった。大きな渋滞はない。上海虹橋駅 は虹橋空港と併設であり、新しくできた駅である。とても大規模で、設備もさす がに新しい。新幹線の乗り心地は専用軌道ということもあって、すこぶる快適で ある。振動を感じないのに320Km/hでている。 無錫駅からO-PARKまでチャーターしたバスで移動した。O-PARKは外観も設備も 充実しているし、広大な敷地面積を持っていた。上海のソフトウェアパークも視 察したことがあるが、遥かに立派だ。フィットネスルームやヨガルームなどの施 設もあった。出迎えてくださったO-PARK周さんが施設について詳しく説明してく ださった。日本語も流暢である。 初日の自己紹介は、開始が遅れたことと、嬉しい悲鳴で参加者が増えたことも あって一人当たり一分少々となったが、皆様のご協力があって、見事に時間遅れ を解決した。多謝! 次は翌日のワークショップの発表テーマの決定とその順序決め。これも効率的 かつ更に有機的な方向にプログラム化されていく。素晴らしい、いつもながら恐 れ入る。 一旦ホテルに戻って、ホテルの近くで夕食、これも美味しくいただく。全体的 に食べやすい料理が多いと感じている。えっ、中華料理に慣れているからでしょっ て?確かに慣れているが、今回はどこで食べても食べやすいと感じた。 24時をまわってから、明日の発表に向けて木村さんと松下さんが協議を開始し た。それも飲み屋さんを出て、街頭で。二人の経験を簡単に語りあい、双方の発 表分担を決定し、別々にスライドを作成し、当日発表前に合体される方針であっ た。前述のアニメーションコラボ製作もあったが、今回のツアーではやけに新し いタイプのコラボレーションが目に付く。時代の変化か? 午前は”OSSの活用、ソフトウェアと社会、地域の活性化” 午後は”グローバルプロジェクトマネジメント、コミュニケーション” どなたの発表も幅広さと奥の深さを感じる。現場経験の声も生々しい。 心苦しいが、セッションが終わるや否や、皆さんとお別れし、タクシーで O-PARKを離れた。無錫駅までは渋滞もなく、スムーズに到着した。上海に向けて の新幹線は、無錫発−上海行きなので寝過ごしても安心である。 驚いたのは乗客が多いことである。無錫−上海は中国内では短距離であり、在 来線でも十分往来できる距離である。にも関わらず、在来線より高価な新幹線和 諧号を利用するとは...これが経済成長が目覚しい中国の実態なんであろうか。 上海最後の夜も過ぎ去り、翌朝日曜日は、南京東路から地下鉄に乗り、龍陽路 からリニアに乗り継いで浦東空港を目指した。新幹線があまりにも快適だっただ けに、リニアの振動がやけに目立ち、気になる。 ■終わりに 心残りは、PANTAさんのライブを見れなかったことと、太湖、張家界にいけなかっ たこと。上海万博にいけなかったのも残念!現地に触れることは大切である。 期待と楽しみは、佃さんが撮影された写真を見ること。是非見たい! 今回のフォーラム、ワークショップに参加してくださった各位、大変お世話に なりました。いつもながら運営を担当してくださっている、杉田さん、魯さん、 そして無錫の増満さん、お忙しい中、有難うございました。最後に、O-PARKの皆 さん、素晴らしい会場を提供してくださったことに感謝いたします。O-PARKから 優秀かつユニークなソフト企業が育つことを楽しみにしております。 関西での再会を楽しみにして、レポート&感想を終了とさせていただきます。