SEA教育ワークショップ
SEA Autumn Workshop


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第12回SEA教育ワークショップ1998 報告
−21世紀に向けての技術教育革新−
SEA 教育分科会(SIGEDU)主催
1998年11月26日(木)〜28日(金)

1.ワークショップテーマ(開催案内よりの抜粋)
 「私たちソフトウェア技術者協会−教育分科会−は、わが国(または世界?)のソフトウェア産業における慢性的なソフトウェア技術者の不足、また育成機関におけるパワー、ノウハウ不足が、来るべき21世紀の発展を考える上での最重要問題であり、私達ソフトウェア技術に携わる者として乗り越えなければならない最大の課題であると考えております。

(中略)

 プログラム委員会は、ソフトウェア技術や教育関連に限らず、できるだけ幅広く様々な立場の方々の参加を期待しております。日ごろソフトウェア技術者の育成や、教育における情報技術の有効利用等に取り組まれている皆様の参加をお待ち致しております。」

2.スタッフ
実行委員長:米島 博司(NECインターナショナルトレーニング)
プログラム委員長:和田 勉(長野大学)
プログラム副委員長:石原 亘(常磐大学)
プログラム委員会アドバイザー:篠崎 直二郎(NECソフトウェア)
プログラム委員:川辺 正明(ソフトサイエンス),君島 浩(富士通LM),
中山 照章(富士通SSL),中園 順三(富士通BSC),
牧野 憲一(オムロン・ソフトウェア),杉田 義明(中国SRA),
河村 一樹(県立宮城大学),南 真由美(日本ユニシス)

3.はじめに(実行委員長 NECインターナショナルトレーニング 米島 博司)

 ワークショップ報告書をまとめなければと思いつつ、あれよあれよともう9ヶ月も過ぎてしまいました。「光陰矢の如し」などと言うつもりは全く無くて、ただ日々の怠慢を悔いるのみです。あらためてこんなに遅くなってしまったことを関係者の皆様にお詫び申し上げます。

4.プロローグ(実行委員長)

 (回想)「南紀白浜の何処までも白い砂浜と群青の空を映した海を目の前にして、ふと夏の終りの情景を思い出した。あれは確か9月初めだった。実行委員長を担当される予定だったNECソフトウェアの篠崎氏が私のもとを訪れられ、「急に闘病生活に入ることになったのでワークショップ実行委員長を引き受けて欲しい。」との突然の告白。(?)「大丈夫、やらせていただきましょう。存分に闘ってきてください!11月ワークショップでは盛大に全快祝いをしましょう、きっとですよ!」と、内心の動揺を隠しつつ大見得を切って引き受けてしまった場面を思い出す。数ヶ月に及ぶ苦しい闘病に見事な打ち勝った元気な友を、今再び迎えることができた。」
 SIGEDUの強力な牽引役として活躍されてきた篠崎氏の全快を心から祝福するとともに、その見事な戦いぶりに、ワークショップ関係者を代表し、最大の敬意を表したいと思います。おめでとう! これからもますますの活躍を!
 という訳で、初めての実行委員長というのは口実にはなりませんが、会場の準備から全くの手探り状態であり、今回の参加者の方々、及び参加できなかったSIGEDU各関係者皆様の数多くの協力を得てようやく開催にこぎつけることができたというところが実状でした。ここであらためて関係者のに感謝の意を表したいと思います。有難うございました。
 また、今回初めての試みとして、ワークショプ開催に先立ち、テーマに関するアンケートやその回答などの事前セッションをWeb上で行いましたが、これに関して全面的にご協力をいただきました常磐大学の石原亘助教授に対して深くお礼を申し上げます。

5.全体的報告(実行委員長)

(収穫) ここ1、2年ほど前からSIGEDUのメンバーとなり月例会などに参加してきましたが、活動内容と昨今の教育会全般の状況を考えると、参加メンバーの相互研鑚の場だけにしておくのはなんとなく勿体無いという気がしていました。今回の参加メンバーの中にも同様の意見がいくつかあり、これからは微力ながらもSIGEDUとして何らかの情報(メッセージ)を発信していこうという参加者の同意が得られ、今後の活動方針に反映されることになったことは、今後のSIGEDUの活動指針を見定める上で最大の収穫だったのではと考えております。

(反省) 一方、開催地が遠距離であったため参加者が限られたこと、新規参加メンバーが少なかったこと、事前のWebセッションの内容を充分活用できなかったこと、などが反省点として残り、今後の検討課題として残りました。

 以下にワークショップの実施スケジュールを示します。各セッションの詳細は次節のプログラム委員長の長野大学 和田氏による報告を参照してください。


第12回SEA教育ワークショップ セッションスケジュール

予定時間      内容              プレゼンテーター /司会・紹介者
       (各セッションは討論含む)

11月26日
14:00〜14:20 受付、事務連絡            実行委員長/同左
14:20〜15:00 参加者自己紹介            全員/プログラム委員長
15:00〜18:00 招待講演「次世代型遠隔学習・教育システム」大阪府立大学 田村教授/君島氏
18:00〜19:00 夕食・懇親会              全員
19:00〜20:00 「ニューヨークのケラースクールの紹介」 富士通SSL 中山氏/プログラム委員長
11月27日
09:00〜12:00 「NTTソフトウェアにおける人材育成」  NTTソフトウェア 駒谷氏/和田氏
12:00〜15:00 昼食・ジムナスティックセッション
         「グラスボートハイク」        全員
15:00〜18:00 テーマセッション−その1       全員/プログラム委員長
         「21世紀に向けての技術教育革新」
         技術教育とそれを支える教育技術と
         ソフトウェア技術の検討
         −Webアンケートを参考に−
18:00〜19:00 夕食
19:00〜21:00 オフレコセッション          NECソフトウェア 篠崎氏
            「仕事をするのに何が必要か?」
        (私の闘病報告)
11月28日
09:00〜10:00 「教育研修の品質基準」        NECインターナショナルトレーニング 米島氏/南氏
10:00〜11:00 テーマセッション−その2       全員/プログラム委員長
11:00〜12:00 ワークショップ総括          プログラム委員長
12:00〜     昼食、解散


6.プログラム詳細(プログラム委員長 和田 勉 長野大学)

 1998年の第12回SEA教育ワークショップは、11月26−28日、南紀白浜の、白砂のきれいな白良浜に面した白良荘グランドホテルで行ないました。進行の概要については実行委員長による全体報告に詳しいと思いますので、ここでは主として、ワークショップの中身であるセッションの全体像と各セッションの概要を報告します。

 事前に、招待講演セッションを含む5つのセッション、およびオフレコセッションと予備の枠としてポスタセッションを計画しましたが、あくまで一応の予定として用意しただけであり、それぞれの時間配分など細かい部分は議論の流れや進行の都合で変えながら進めていくことは元々予定のうちでした。結果として、実際のワークショップの進行は以下のようになりました。当初予定していた5つのセッションは、一部進行の都合で時間を変えたりずらしたりしたものの、ほぼ予定した範囲の中で行なうことができました。また予備の時間の一部をテーマセッションの続きの議論に使うことにしました。

(司:司会者 講:講演者/発表者)

−☆ 11月26日(1日目)☆−

事務連絡:実行委員長

参加者自己紹介:全員 (司:プログラム委員長)

#1 招待講演「次世代型遠隔学習・教育システム」 講:田村先生 司:君島氏

#2 「ニューヨークのケラースクールの紹介」 講:中山氏

−☆ 11月27日(2日目)☆−

#3 「NTTソフトウェアにおける人材育成」 講:駒谷氏  司:和田

#5−1 テーマセッションその1 講:全員 司:和田 (3日目に続く)

オフレコセッション  「仕事をするのになにが必要か?(私の闘病報告)」

講&司:篠崎氏

−☆ 11月28日(3日目)☆−

#4 「教育研修の品質基準」 講:米島氏 司:南氏

#5−2 テーマセッションのその2 講:全員 司会:和田

ワークショップ総括 講:全員 司会:プログラム委員長

 初日、開始予定時刻には、都合のため招待講演者の田村先生がまだ到着しておられませんでしたが、予定通り、事務連絡のあと恒例の参加者各自の自己紹介を全員が行ないました。自己紹介といってもここでは例年、各自の経歴・背景、および毎年参加している方はこの一年の近況報告、あるいは人によっては小講演まで行なうので、ほぼ一人5-8分程度話しています。今回も、視察ツアーの報告なども含めて近況を話した方も含め、かなり詳しい「自己紹介」となりました。

#1 招待講演「次世代型遠隔学習・教育システム」

 自己紹介セッションの途中で田村先生が到着され、#1招待講演に無事入ることができました。同先生は、長年国際通信の会社に在籍されたあと、最近大学に移られた方です。講演のタイトルは現在の研究テーマである次世代型遠隔学習・教育システムでした。しかしやはり長年通信網の関係に携わってこられたことからでしょうが、講演は自然とそちら、すなわちいわゆる「ネットワークインフラ」の現状の解説と将来の展望の紹介にかなり力点をおいたものになりました。お聞きしていても、確かに今は遠隔教育環境に取り組んでおられまたその研究の展望も持っておられることも分かる一方、やはり通信網そのものに関して話された部分の方が内容が充実したものになっていて、基本的にそちらに造詣の深い方であることが感じられました。その分野とは(関連は深いにしても)異なる分野に足場を置く者としても大変勉強になりました。御都合で田村先生はこのセッションのあとすぐに帰途につかれ、参加者とゆっくり意見交換をする場が持てなかったことは残念でした。

#2 「ニューヨークのケラースクールの紹介」

 行動分析学に造詣が深く、SIGEDU月例会などでも今までにも何度も関連の話をなさっている中山氏が、その良い実践例である障害児教育の学校「ケラースクール」や、同分野の専門のあるいくつかの大学の紹介をされました。

#3「NTTソフトウェアにおける人材育成」

翌 日朝は、#3「NTTソフトウェアにおける人材育成」と題する駒谷氏による発表が行なわれました。同氏はこのワークショップにもSEA SIGEDUにも初参加ですが、ワークショップに先立つメイリングリスト上での議論において、すでにアクティブな発言をなさっており、ワークショップが始まった時から到底初参加とは思えない活躍をされていました。発表では、所属するNTTソフトウェアが、管理者が皆博士過程を終えた方でNTT研究所からの出向であり管理職経験は薄い方々であること、現状ではNTTからの受注業務がほとんどである、などの会社の状況、その中で特に教育・人材育成に関することの紹介やそれの他社との比較などの話をされました。今まで同社からは本ワークショップやSIGEDUへの参加があまりなく、参加メンバにとっても新しい方との交流により世界がまた少し広がる効果があったようでした。

#5−1 テーマセッションその1

 #5テーマセッションは、今回初めての試みとして設けたもので、当初は『「21世紀に向けての技術教育革新」技術教育とそれを支える教育技術とソフトウェア技術の検討』が予定されており、また石原先生(常盤大学)の努力で、このワークショップに向けてのWeb上でのアンケート活動もなされていました。しかし当のセッション内の議論はそれ以前の、このSEA教育ワークショップのあり方、SIGEDU/SEAのあり方に集中しました。この議論はこの時間内だけでは終らず、予備の時間としていた3日目の一部も使って続きを行ないました。

 両方を含めてこの中で出た意見としては、SEA教育ワークショップに関しては:

・最初にこのワークショップに参加する時はそれだけで得るものが大きい。一方、2回目以降の参加者にとっても、単に議論に参加しただけに終らず得るものが大きいようにしていく努力をしてゆきたい。

・ワークショップ会場からWebにアクセスできる環境を整え、期間中にそれを使って、テーマや議論に上ったことに関してその場で調査活動ができたら良い。

・観光地での開催と都市部での開催の長所短所を比較検討してみたらどうか。

・参加者を集めるだけの「手配師」になってしまわないようにしたい。

・従来このワークショップは目標を掲げず、向いている方向だけがある「結果は出なくていい」をポリシーとしてきたが、達成感の点からこのことは再検討すべきかもしれない。

・ワークショップ自体のミッションをはっきり設けて、世の中に対して目に見える成果を出してゆけることをめざすことは意味がある。しかし実際の作業をワークショップ参加メンバで行なうのは作業パワーの点から無理がある。(皆本業で忙しい。)

またSIGEDUや、より広くSEA自体に関しては:

・SEAやSIGEDUの目指しているもの・目的・社会的意味が外からも良く分かるようにしてゆきたい。

・SIGEDUはそれなりのメッセージを発信する必要がある、あるいはメッセージの取りまとめ役となる必要がある。会誌SEAMAILで行なうかWebで行なうか? 参加者だけのためのSIGEDUから、世の中へ情報発信するものへと変わる必要がある。

・しかし一方、勉強会も存在していいはず。SIGEDUをどちらの性質・立場のものにするべきなのか?

またそれ以外では:

・社内の教育コースマップ(体系)はWebに乗らない。本来は社外秘ではないのに社外秘扱いにされてしまう。また、すぐ変わる。

・今回のアンケートはなんのために行なったのか、答えていて目的が分からなかったので、具体的な聞き方をするなどさらに改良が必要である。

などがありました。一応の結論として、とりあえずSIGEDUのWebページを作り、このワークショップの報告も含めて情報発信の実現を目指すこととし、その具体的な実現方法の段取りも話し合いました。

#オフレコセッション

 オフレコセッションの内容は、オフレコですから記しません。ただ疑念を呼ばないために、SEA本来の専門からは少々外れた話ではあっても、決して不真面目な内容ではないことだけは記しておきます。

 

 なお2日目にはセッションの他に、全員で外出して、グラスボートと地元の水族館(京都大学附属)で、魚やその他の水生生物の観察を楽しみました。

#4 「教育研修の品質基準」

 28日の#4「教育研修の品質基準」は元々2日目午前中に予定されていたためこの番号になっているのですが、進行上の都合からこの時間に移して行ないました。この発表では、教育・研修の品質評価において、目的と目標の混同を排し、目標をはっきりさせできるだけ早くテスト問題を作ることによって「出口」をきめておくことが大切であること、それの実現のためという観点から評価するためのチェックリストの内容などが紹介されました。また、SIGEDUの常連なら言葉としては馴染みが深いものの実は内容は良く知らない人もいる、CRIとISDの関係、教育工学上での位置付けなどについても改めて紹介していただきました。

#5−1 テーマセッションその1

 順序としてはこのあとに#5−2(テーマセッションの続き)を行ないました。その内容は#5として上にまとめて記してあります。最後に参加者が一言づつ感想を述べ、全セッションが終了しました。

 

 今回特筆すべきは、ワークショップに先んじて、石原先生の手によるWebが作られ、そこでワークショップのテーマセッションでの検討に供すべくアンケートが行なわれたことでしょう。しかし今回は、残念ながら石原先生自身が都合により参加できなかったこともありこのワークショップ中の作業のリーダシップをとれる人がおらず、この試みは「湿ったまま不発に終ってしまった」と言わざるを得ないでしょう。本当に「発火」を目指すならば、Web上・ワークショップ中の両面に関して、主体的に取り組んでいただけるリーダに中心になっていただいて相当のエネルギーを注ぎ込んだ検討・作業を行なうことが不可欠であると感じました。

7.SIGEDUへの提言(第12回SIGEDUワークショップ参加者からの)

 参加した7名のメンバーで今後の教育分科会の更なる発展を希望し、SIGEDUの活動に対する提言を行うことにいたしました。SIGEDUは学会などと違い、自由に意見を交換したり、論文を発表したりすることができます。会社外で同じ教育関連の業務に携わる人との出会いの場でもあります。このようなすばらしい場に多くの人が参加すればもっと有意義な活動ができると思いますSIGEDUにもっと多くの人に参加していただくには、SIGEDU自体が教育に関わる人々にとってより魅力のある存在になる必要があります。そのためにはもっと積極的に情報を提供することを提案します。現在SIGEDUのWEBページは存在しませんが、まずは今回のワークショップの報告をWEB化してはどうでしょう。また、また、月例会の報告などを追加し、将来的には「教育について情報を検索したい!」→「SIGEDUのホームページにアクセスしよう!」というくらいのページにしていただければと思います。

☆ 日本ユニシス 南 真由美さん ☆

 今回3回目の参加をさせていただきました。遠隔教育システム、行動分析学、人材教育、CRI技法などなど、多彩なメニューが用意され、有意義な議論に参加できたと思います。     また、メニュー以外にも参考になる情報が得られたことも感謝いたします。限られたメンバーでの開催になってしまったのは少し寂しいですが、このように自由に意見を取り交わせる機会もそう多くはないと思います。教育に関わるより多くの人々がこのようなワークショップに参加していろいろな意見をお聞きできると更に魅力的な会合になると思いました。

☆ NTTソフトウェア 駒谷 昇一さん ☆

 ソフトウェア技術者をどのように育てる必要があるのか、なかなか実践的な話を聞く機会がなかった私にとって、大変有意義なワークショップでした。企業で行われている技術者育成のノウハウについて、忌憚のない熱心な意見交換をできたことと、人脈ができたことは大変な収穫です。私は今回初参加にも係わらず、他の参加者から暖かく迎え入れて下さり、色々と教えていただき大変感謝しております。今後は、さらにソフト会社のみならずメーカのソフトウェア技術者養成に対して日々取り組んでいる方々も参加されることを希望しております。また、このような有意義な会が、広く知れ渡り、ソフトウェア技術者育成を手がけている多くの会社がこの会の存在意義を認めるようになるよう望んでいます。このため、広く情報発信をした方がよいと思います。開催場所が、遠く不便だったので、次回はもっと近場で実施していただけると参加しやすいと思います。

☆ NECソフトウェア 篠崎 直二郎さん ☆

 今回のワークショップは、当初「実行委員長」として計画立案および業者手配までは進めてきましたが、病に冒され、途中米島実行委員長に交代しました。実行委員長の交代により、今までにない新鮮なワークショップ運営ができたと思います。特に、前々回(第10回:@八丈島)についで、メーリングリスト(ML)を使ったプレセッションにより、アンケート運営や活発な意見交換ができました。ただし、活発なプレセッション中の2ヶ月間、病院送りとなった身としては、このプレセッションにあまり参加できなくてメールの山が溜まっただけ状態だったのが悔やまれます。

 石原先生の進めていただいたソフトウェア技術者に対する教育のアンケートですが、 WS会場でも意見が出ましたが、「答えにくい」、「目的がわかりにくい」、・・・などの関係で、回答者が少ないだけでなく当初の意図があまりくみ取れなかったように感じました。これについては、石原先生が参加できなかったことと、会場で、Webを参照できる環境を作れなかったことで議論が進まなかった原因となったのでしょう。これは、石原先生が悪いのではなく、私を含め、企画を進めてきたWS参加者の問題だと思います。

 ただし、今回わかったことは、内容や方法を吟味していけば、本来のワークショップとして非常におもしろい取り組みができるものだと感じました。

 基調講演の、大阪府立大学の田村先生の話は、さすがに通信関連の実務経験者から来る説得力のある内容でした。また、田村先生のお人柄も伝わり、1セッションだけで終わったのが残念です。少なくとも、一緒に食事をとりゆっくりした中で意見交換をしたかった。逆にご多忙の中WSに参加していただけたことを感謝します。

 駒谷さんのセッションについてですが、教育と人材育成を実際にとり組まれている、現在進行形の内容で興味を持ちました。また、NTTソフトウェアさんが研究所を母体としていること以外は、当社(NECソフトウェア)と共通する部分もあり、大いに啓発される部分がありました。そういえば、社名もにています。

 今まで、SIGEDUや本ワークショップでも人事関連の方や人材育成に関して相当意見 交換が行われましたが、駒谷さんのご発表は今までのものとは異なり、技術者のスキルを前向きにかつ現実の業務の場で活用するための施策ということで共感がもてました。これは、駒谷さん自身が技術者をベースにしているからでしょうか。今後もWSだけでなく情報交換を続けていきたいと思いました。

 オフレコセッションは、元来記録には残さないものですが、どういう訳かこのWSのオフレコセッションは、最終的に硬派な内容になってしまうようです。参加者が、やはりまじめすぎるのでしょうか。

 プレセッションで、一時SIGEDUメーリングリスト(ML)に課外活動について多数投 稿があり、一部の方のひんしゅくを買ったきらいがあるようですが、これもまた楽しいものではないでしょうか。せっかく業務の場を離れ、新しい発想を獲得しようとする場合、ある程度のインセンティブ(ご褒美)が合っても良いと思います。

 ただ、ちょっとやり過ぎたきらいがあったかもしれません。今回、私は運良く参加 できたから良かったのですが、参加できずに課外活動メールをたくさん読まされると、やはりやっかむと思います。

 他の方も事後報告で述べられていましたが、2日目の午後の自由時間に、京都大学付属水族館の見学はやはり印象的でした。ただし、私も含めて展示水槽の前で「おいしそう!」という感嘆詞が多かったのは、今回のメンバの特性でしょうか。それとも、白良荘グランドホテルの(竜宮城でいただくような)豪華な食事のせいでしょうか。

 過去、全回参加の自称ホテル評論家氏(Kさん)に言わせると、天童(第2回:山形)が今までのダントツ1位でしたが、その天童と甲乙つけがたいレベルのようです。

 最後に、オフレコセッションを受け持ち、ほとんど記録に残らない、ただし参加者の記憶には残る?セッションでお話ししましたが、今回は本当に参加できたことを喜んでいます。

 9月〜10月にかけて病気を患い、入院時の医者の説明では11月の出張などはとんでもない状態だっただけに、喜びはひとしおです。また、白浜も塩分を含んだ温泉が手術跡に良かったのか、その後体調は良いようです。SIGEDUの方々には、いろいろご心配をおかけしたようですが、体調は回復いたしましたので、今まで通りおつきあいしていただきたく思います。私のかかった病気は伝染したりしないたちのようですので、それだけでも安心しています。

9.最後に(実行委員長)

 冒頭にも述べましたが、教育後進国であるわが国の現状を鑑みると、SIGEDUのような有意義な活動をしている存在があることは頼もしい限りです。決して手前味噌で言う訳ではありませんが、こうした活動の存在を世の中にアピールし、情報発信して行くことの必要性をメンバーの一員として痛感します。

 なお、本レポートには、紙面の都合上各発表者の資料は添付しませんでしたのでご了承ください。各セッションの詳細

以 上