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                       SEA Forum September 2008

                 産学連携の現在と将来

      − 日本のソフトウェア産業の発展のために −

               主催: ソフトウェア技術者協会(SEA)
 
            http://www.sea.jp/
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  グローバル化の進展や社会の IT インフラの急激な発展に対応すべく
 ソフトウェア技術の分野における産学連携の必要性が唱えられてからす
 でにかなりの時間が経過しました.

  その間に,「学」サイドでは,社会人向け大学院の開設やPBL*にもと
 づくプロフェッショナル教育の実践などの試みが行われ,また「官」サ
 イドでは IPA-SEC の創設や ITスキル標準の設定・普及,あるいは組込
 み技術者の育成などの施策が実施されてきました.しかしながら,産業
 界の現状を眺めてみると、あいかわらずハード・ソフト両面のほとんど
 の分野で既存の技術や製品を欧米から輸入しそれらを組み合わせる SI
 ビジネスが支配的です.あるいは安易な派遣ビジネスやオフショア・ア
 ウトソーシングによる利益だけの追求も目立ちます.グローバルな視野
 に立った独創的な技術開発を目指す動きはほとんど見られません.
 
  今回の Forumでは,真の意味での産学連携を実現し,現在の行き詰ま
 り状況を打開するにはどうしたらよいのかを,これまで産学共同研究や
 教育分野で努力されてきた大学関係者をスピーカにお迎えして議論して
 みたいと考えています. (*PBL: Project Based Learning)
 
  (なお,ご参考までに,今回の Forum の企画を担当された熊谷章さん
   が書かれた開催の趣旨を末尾に添付しました)
 
  ふるってご参加ください.
 
    *****************   開 催 要 領   *****************

   1.日時:2008年 9月 10日(水)  12:30受付, 13:00開始, 17:30 終了

   2.プログラム(予定)
  
     12:30 -- 13:00 受付

     13:00 -- 13:30 問題提起     岸田孝一(SRA-KTL)

     13:30 -- 14:00 Break

      14:00 -- 17:30 パネル討論

                          司会: 熊谷章 (Tao Bears)

             パネリスト: 荒木啓二郎(九州大学)
                    中野秀男(大阪市立大学)
                    岸田孝一(SRA-KTL)

             コメンテータ: SEA 幹事会メンバー有志

   3.会場: 県立神奈川近代文学館 会議室

                   横浜市中区山手町110  電話: 045-622-6666
                http://www.kanabun.or.jp/0g20.html

   4.定員: 40名(申込み順,定員になり次第,受付を締め切ります)

   5.参加費:SEA正会員 2,000円,SEA賛助会員 3,000円,一般 5,000円

   6.申込み方法: 下の申込み票に必要事項を記入して

        SEA事務局 sea @ sea.or.jp 宛てに

           e-mail(テキストメールのみ, HTMLや添付ファイルは不可)で
      お申込みください.

      折り返し受付確認の mail を返信します. 当日会場の受付で,
      受付番号とお名前を申し出てください.

      参加費は当日現金でお支払いください.領収書をさしあげます.
      申込み受付後のキャンセルは認められません.

      何らかのご都合で参加が不可能になった場合は代理をお立てく
      ださい.

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     SEA Forum September 2008 (9/10 @ 神奈川近代文学館) 参加申込み

   氏名:__________________ ふりがな(______________________)
   所属:___________________________________________________
   住所:___________________________________________________
   電話・FAX:________________ / ________________________
   E-mail: _____________________________
   種別(いずれかにチェック・記入): 
      □ SEA会員(No:     )
      □ SEA賛助会員 (会社名:               )
      □ 一般
      ----------------------------------------------------
        *注:賛助会員企業一覧:http://www.sea.jp/sanjo.txt

   -----( Mail to: sea @ sea . or . jp テキストメールに限る  )------

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                  SEA Forum September 2008 開催趣旨

             熊谷章(Tao Bears)

 いつからか,コンピュータのハード・ソフト両面における日本からの技術革新
の発信が消えてしまった。その状況がいまも続いている。技術革新を実現する核
心は産学の連携と協同にあるといわれ続けているにもかかわらず,現実は必ずし
もうまくいっていないように見受けられる。ソフトウェア製品の利用については
輸入と輸出との比率が金額で100倍以上だという事実が指摘されている。まさに
絶望的な状況である。しかし、我々の周囲には、これまでさまざまな産学協同の
活動に携わってこられた人びとが数多く存在する。そこで、今回のフォーラムで
はこれらの方々と一緒に,日本のコンピュータの世界に新しい技術革新を起こす
ための産学連携のあり方について,熱い議論を展開し,それを通じて近未来の展
望を切り開いてみたいと考える。

 技術革新の原動力である研究者・技術者育成に関する最近のトピックスをいく
つか拾ってみよう。

 数年前に、経団連から学界へ注文があった。「これまでの大学は産業界が必要
とする人材を提供してないように見える。しかるべき予算を提供するので、産業
界向けの人材育成に真剣に取り組んでほしい」という要望であった。本来、大学
は象牙の塔なのであるから、このような世俗的な注文を一蹴することが、大学と
しての社会的な尊厳と役割を明確にするだろうと、わたしは予想した。しかし、
独立行政法人に変った日本の大学は、それを甘んじて受け入れ PBL(Project
Based Learning)を含む新カリキュラムを経団連に提示したのであった。そして
いくつかのグループを編成して、このカリキュラムにもとづく教育を実践中であ
る。経団連からの予算がなくなれば、この教育コースは終了する予定だというの
だが、いかがなものであろうか?

 また、経済産業省が IPAを通じて行っている一連の政策がある。ソフトウェア
エンジニアリングセンター設立、独創ソフトウェア等の公募、スーパープログラ
マの支援、スキル標準の設定、ソフトウェアプロセスの普及など、いろいろな施
策が実施されているようだが、一向によい評判が聞かれない。税金の無駄遣いだ
という批判の声のほうが大きい。これらの政策から新しい技術革新が生まれる可
能性はほとんどないだろう。

 ひるがえって産業界をを眺めてみると、ハードウェア、システム・ソフトウェ
ア、ミドルウェア、アプリケーション・パッケージに至るすべての領域で、新技
術を欧米からの輸入に依存する状況に陥っている。市場の要求に合わせて必要な
システムのコンポーネントを海外から調達して統合することが日本のソフトウェ
ア企業の主要な仕事になっているように見える。「システム・インテグレータ」
とかいう奇妙な名称が世の中にはびこっているのが,そうした状況の表れであろ
う。

 ハードウェアの高性能化と超低価格化によって,コンピュータ関連産業のビジ
ネス・モデルはここ10年間で一変した。かつて栄華を極めたメインフレーム・
メーカは自社ブランドの製品を棄て、組織の統廃合を重ねながら生き残りに精一
杯の体たらくである。たしかに、かつて高額だったスーパーコンピュータがいま
や10数万円で買えるのだからビジネスのやり方は変わらざるを得ないだろう。
しかし、一度この業界にはびこったインフレ気味のビジネス・モデルと商習慣は
簡単には変化せず、相変わらずのITゼネコンと揶揄される手法が横行し、労働市
場では、コンピュータおよびソフトウェアに従事する仕事の評判が悪く3Kや7K
とかの形容で表現される人気のない職業になってしまっている。

 「こんな状況に陥るはずはなかった。これは悪夢だ」と思いたいのが、この業
界でこれまで生きてきた人びとの実感であろう。コンピュータは人類がいままで
発明した文明利器のなかで、最高のそしてある意味では究極のものである。数値
計算と記号処理を基本機能とし、それにネットワーク機能を融合させたのである
から人間の知識と力にとっての最大の武器であることは間違いない。知識や力を
増幅させ、文明と文化を構築するのに絶大な威力を発揮するコンピュータを使っ
てさまざまなシステムを構築する仕事に魅力がなく、技術革新も起きないという
のであれば、「人類はいったい何を目的とし、どこに向かおうとしているか」と
問われても仕方がない。どうしてこうなってしまったのだろうかと、われわれは
自分自身に問い直す必要がある。

 閉塞感に満ちてた現代の状況を打破できるのは技術革新しかありえない。自由
と競争と喜びとが、技術革新の根源的なドライビング・フォースである。かつて
の象牙の塔としての学にはこの三者があった。そして、かつての産にも学とは質
が異なるが自由と競争と喜びとがあった。昔に還れとはいわないが、いまの環境
にあった研究開発活動を推進し、自由と競争と喜びとを復活させることに意味が
あると、わたしは考える。そのためには、深層レベルでの産学連携を実現し、共
同して研究開発を行うことが必要である。深層レベルとは、予算や権威が価値基
準にはならないことを意味している。では、何を目標とすべきだろうか。価値観
は多様であるべきであり、さまざまな考え方や生き方があって然るべきだが、現
在の日本という制約条件を前提とした場合,まずは,何が共通の課題かを議論す
ることから始めなければならない。

 新しい技術革新を生み出すような産学連携のあり方を議論することは、一つの
価値基準を示すことになると考えてよいだろう。そうした技術革新は、われわれ
人間の頭脳を強化する手段である。歴史的にみれば、人類には科学、哲学、芸術
で表わされる3つの分野の活動が存在した。これらは三種類の人間のためにある
わけではなく、一個の人間をよりよいものにするために存在しているのだと考え
られる。いわば、脳を育み鍛え、より面白く楽しいことができる人間になるため
に人類は努力してきたのである。この3つの分野を分け隔てなく統合し,あるレ
ベルの深みに至るまで掘り下げて研究開発を行うことのできる場所、タフで素晴
らしい脳の力を持つ人間を生み出すのが「学」の役割である。そして、それらの
人びとが活躍できる社会的な場や仕組みを設定するのが「産」であるだろう。そ
うした認識のレベルにおいて産学間で頻繁な交通を実現できれば、その社会では
頻繁に新しい技術革新が起きるに違いない。ソフトウェアはこのような活動のた
めのキーファクターに、いまやなっているのだとわたしは考える。

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Fri Aug 15 16:05:16 JST 2008