ソフトウェア・シンポジウム 2016
ワーキンググループ・チュートリアル

ソフトウェア・シンポジウム 2016 で 11 年目を迎えるワーキンググループでの活動は,ソフトウェア技術にまつわるさまざまなテーマや課題に関する発表,議論を行うことで,参加者やグループがそれぞれの方向性を見いだしていくための場です.さらに今年は,参加者のさまざまな要望に応えるために,ワーキンググループ (Working Group : WG) の他に,チュートリアル (Tutorial Session : TS) を2件用意しました.

また,今年から,ワーキンググループに参加しないという選択肢はありません.特定のテーマが決まらない方は,WG11「ソフトウェア開発の現状と今後の発展に向けたディスカッション」を選択してください.このワーキングでは,特定のテーマを決めず,参加者からの発表をベースにしたディスカッションを行います.

WG名前
1 (ED) 自律的な成長力の育成
2 (RV) リスクアセスメントをベースとしたソフトウェアレビュー
3 (MT) 不立文字から形式知に~ソフトウェア保守技術の伝承考える~
4 (TA) チーム活動を外から比較する ~チーム協働状態を示すチーム貢献係数~
5 (TT) 状態遷移を含む統合テストの自動生成<Concolic testingの進撃>
6 (SS) ソフトウェアと社会
7 (RQ) 要求技術者の責任と社会システムの狭間
8 (FM) Pre-formal ツールを用いた仕様記述の実践と応用
9 (RC) アジャイルRCA+SaPIDによる障害分析から対策策定までの一気通貫プロセスの体験
10 (SD) サイズ・・見積もってますか? - USDMで仮説見積もりと高精度のサイズ見積に挑戦しよう -
11 (SE) ソフトウェア開発の現状と今後の発展に向けたディスカッション
12 (DC) D-Case
TS名前
1 (FC) ソフトウェア開発チームのためのファシリテーション入門
2 (PT) パターン・ランゲージの再入門 再利用からクオリティの生成へ
(順序不同,英字二文字は略称)

WG1: 「自律的な成長力の育成」

リーダ: 米島 博司 (パフォーマンス・インプルーブメント・アソシエイツ)

概要:

企業や大学における教育シーンで,学習者の自律的かつ能動的な学習を提供しようとするアクティブ・ラーニングの導入が盛んになってきました。ソフトウェアの技術も加速度的に進化する状況の中で,教育という時間と空間を与えられるのを待つのではなく,技術者自身が自律的に自らの学習をデザインしていく力が強く求められています.

当ワーキンググループでは,そうした状況を踏まえつつ,参加者自身の実践事例を持ち寄り,相互に意見交換を行ない今後の改善の参考にすることを目的とします.ソフトウェア技術者の人材育成,教育に携わる方,大学や専門学校においてソフトウェア技術教育を担当される方など,広く技術教育に携わっておられる皆様の参加をお待ちしております.

参加の条件:

ポジションペーパー (スライド 1 ~ 2 枚程度) の提出を必須とする.基本的に参加者はスライド一枚程度のポジションペーパーを 5 月末までに提出する.

運営方法・備考:

基本的に参加者自身の事例や研究を持ち寄って発表し,参加者全員で意見交換,議論によって相互研鑽を行う.

メーリングリストのアドレス: ss2016-ed @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG2: 「リスクアセスメントをベースとしたソフトウェアレビュー」

リーダ: 山本 佳和 (日本アイ・ビー・エム)

概要:

レビューの際に,間違いを指摘され続け,レビューイが萎縮しているという場面に出会います.

このレビューでソフトウェアの品質は高まっているのでしょうか?

プロジェクトマネジメントの分野では,発生が不確実な事象をリスクとし,プラスとなる事象の発生可能性と影響度を増加,逆にマイナスとなるものを減少させるようにコントロールします.

同じ考え方を適用して,レビューの場をソフトウェアチームおよび成果物の将来の事象に備えるための場に変えていけないでしょうか.

ソフトウェアの品質を高めながら「魅力的な開発」をするためにレビューはどうあるべきなのかをみなさまと議論しながらあるべきレビューの方向性を示したいと思います.

参加の条件:

ポジションペーパの提出(A4 1~2枚)

運営方法・備考:

メーリングリストのアドレス: ss2016-rv @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG3: 「不立文字から形式知に~ソフトウェア保守技術の伝承考える~」

リーダ: 高橋 芳広 (ソフトウェア・メインテナンス研究会 (SERC))

概要:

ソフトウェア保守の技術は熟練者の経験に依る物が多く,資料として形に残る物は数少なく,正に不立文字であった.しかしながら,日立ソリューションズ 鈴木勝彦氏の労作「性能トラブルの勘所」(本シンポジウムで発表予定)は,鈴木氏の長年の経験による暗黙知を見事に形式知化したものである.

本WGでは鈴木氏に「性能トラブルの勘所」をまとめ上げる上で動機,苦労や工夫を披露して頂きます.そして,個人の篤志的努力に負うのではなく,第2段,第3段と続出するような仕掛けいかに作るかを討論したい.

参加の条件:

ポジションペーパー(簡単な自己紹介程度)の提出

運営方法・備考:

メンバーの発表と討論.鈴木氏の発表を聞いて興味を持った方,質問がある方等飛び入りも歓迎いたします.

メーリングリストのアドレス: ss2016-mt @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG4: 「チーム活動を外から比較する ~チーム協働状態を示すチーム貢献係数~」

リーダ: 森本 千佳子(東京工業大学),増田 礼子(フェリカネットワークス),東村 高良(関西大学)

概要:

人の成長やチームビルディングがソフトウエア開発に重要であることは知られていますが,推進担当者の悩みは「定量的に」チームの状態を示すことです.

人やチームの成長を把握するために,様々な評価モデルとそれを測る手法が提案されていますが,準備が難しかったり,入手したデータを分析するのが難しかったり,という問題がありました.

本WGでは,少ない手間でチームの状態を捉える新しい方法として「チーム貢献係数」をご紹介します.

前半では「チーム貢献係数」を使った実践事例を紹介し,実際のデータを用いて,いくつかのチームを分析してみます.後半では,「チーム貢献係数」の可能性,従来手法との比較など,実務に応用するときの「チーム貢献係数」とのつきあい方を議論します.

分析体験では難しい数式を使わず,統計ツール(RStudio)を使って実習します.

参加の条件:

・人材系活動を実践している(したい)人
・参加希望者はPCを持参ください

運営方法・備考:

・実践事例と実務への応用課題に関する議論
・統計ツールの基礎演習(未経験者が多い場合)
・チーム分析演習
※演習用にこちらでサーバを用意し、それに接続して演習します

メーリングリストのアドレス: ss2016-ta @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG5: 「状態遷移を含む統合テストの自動生成<Concolic testingの進撃>」

リーダ: 植月啓次(パナソニック),松尾谷徹(バッグ工学研究所),矢野恵生(デンソー),蛸島昭之(デンソー)

概要:

ついに,コンピュータの進撃が囲碁の世界で成果を出しつつあります.コンピュータ対人間の最終決戦で,コンピュータの進撃は,また大きな成果を上げました.コンピュータを使った探索技術は飛躍的に進歩しており,囲碁や将棋の世界だけでなく,プログラム解析においても大きな成果を出しています.

コンピュータの進撃を支えているのは人です.探索ツールを合理的に組合わせ,現実世界の問題を解きます.

テストの世界においても,ある日コンピュータに置き換わるのではなく,探索ツールを使うことのできるエンジニアや企業に置き換わります.

コンピュータによるプログラムロジックの解析は,組合せ論理については,ほぼ完全に出来ています.状態変数を含む順序論理については,順序変数の探索により,一つ一つの状態遷移に分解することによって,組合せ論理として解くことができます.あるいは,コンピュータパワーを使って,数十の状態変数であれば力づくで解くこともできます.

道具としてはほぼ完成しているが,使いこなせるエンジニア不足から,実践がついていっておりません.何故,エンジニア不足なのか?それは,この種の技術を学ぶ場が,大学にも企業にも存在していないことが原因です.誰も知らないので,簡単に学ぶことができない現実があります.

このWGでは,この問題に対し,仮想開発環境構築ソフト(Vagrant)を使って,すでに準備したConcolic Testingの環境を利用します.この環境下において,実際に動作させ,体験し,これからの可能性について議論します.

参加の条件:

自分で使って確かめる行動力のある方,現場指向の管理者.

運営方法・備考:

進め方:
・試行環境での例題を動かしてみる
・実際に使っている現場の事例説明
・応用に関する討論

メーリングリストのアドレス: ss2016-tt @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG6: 「ソフトウェアと社会」

リーダ: 岸田 孝一 (SRA)

概要:

これまで何回かのSSで,「無形労働」や「社会」をテーマにWGをやってきましたが,今年のSS in 米子では,少し角度を変えてもう一度この問題を討論したいと考えています.

具体的には,去年の秋にアメリカで出版された話題の書:

“The Architect as Worker - Immaterial Labor, the Creative Class, and the Politics of Design”
The Architect as Worker - Immaterial Labor

を材料として取り上げます(この本は Amazon で買えます).

建築とソフトウェアは,仕事のなかに有形労働 (レンガ積みや壁塗りなどの人工仕事)と無形労働 (概念作りや設計などの創造的作業)の両側面を含んでおり,また産業としても多重下請構造を抱えているという点で,きわめて似通っているので,建築業における諸問題をアナロジーとしてソフトウェアと社会との関わりを議論するのはきわめて有意義だと考えます.

上記の参考文献は5部構成で15篇の論文が収められていますが,『設計労働の商品化』と題されたその第1部に載っている4つの論文[※]は,建築 業界を外側からの視点で論じるというかたちになっているので,われわれにとって都合がよい.

[※] Part I: The Commodification of Design Labor

1. Dynamic of the General Intellect
 Franco Berardi, Nuova Accademia di Belle Arti, Milano, Italy
2. White Night before a Manifesto
 Daniel van der Velden and Vinca Kruk, Metahaven,
 The Netherlands
3. The Capitalist Origin of the Concept of Creative Work
 Richard Biernacki, University of California, San Diego, USA
4. The Architect as Entrepreneurial Self:
 Hans Hollein's TV Performance 'Mobile Office' (1969)
 Andreas Rumpfhuber, Expanded Design, Vienna, Austria

参加の条件:

WG参加を希望される人には,事前にこれらの論文を読 んでそれについての自分の意見あるいは感想をポジションペーパとして提出してもらうという条件をつけたいと思います.

いささかきびしい前提条件ですが,それがクリアできず参加者が集まらなければ,この WG はキャンセルということにしましょう.

運営方法・備考:

参加者全員がそれぞれの Position Statement を発表し,全員で討論する.

メーリングリストのアドレス: ss2016-ss @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG7: 「要求技術者の責任と社会システムの狭間」

リーダ: 中谷 多哉子 (放送大学),妻木 俊彦,中村太一 (国立情報学研究所)

概要:

要求仕様書の妥当性を確認するのは,要求者の仕事か,要求技術者の責任か.

ある種のソフトウェアは,導入後に社会に与える影響が大きいが,それにもかかわらず,その影響を十分評価する工学的なプロセスはあまり議論されていない.設計以降の開発は,要求仕様書に基づいて作業が行われるため,社会的に負の影響がある開発を止めたり,あるいは社会教育の必要性を判断したりするのは,要求技術者の責任ではないか.

本ワーキンググループでは,様々なソフトウェアシステムを例として取り上げ,社会的な影響,良いソフトウェアと悪いソフトウェアの評価基準,時代の変化によって変動する評価基準といったトピックを取り上げて,討論を行う.

参加の条件:

社会インフラとしてのソフトウェアが担うべき責任と要求技術者の役割について,ご意見をお聞かせください.

A4で2ページ以内にご意見をポジションペーパとしてまとめ,投稿してください.

運営方法・備考:

話題提供のための基調講演(妻木俊彦)

基調講演の内容にそって,討論を行います.

討論テーマは,投稿されたポジションペーパの中から,話題を選定いたします.主催側で用意している討論テーマは,以下の通りです.

1)社会を支えるソフトウェアの社会的な責務とは何か

2)そのようなソフトウェアが担うべき責務の妥当性を評価するのは誰か.何をどのように評価すべきか.

メーリングリストのアドレス: ss2016-rq @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG8: 「Pre-formal ツールを用いた仕様記述の実践と応用」

リーダ: 田中 美穂 (アートシステム),張 漢明 (南山大学),酒匂 寛 (デザイナーズデン)

概要:

本 WG では,品質の高いソフトウェア開発の第一歩である「仕様記述」に注目し,厳密な仕様記述の技法として実績のある形式手法の記述を実践した上で,現場への適用やその応用について議論します.

どなたでも,記述を実践・体験できるように,支援ツールを用いた事前チュートリアルも準備する予定です.具体的な書き方を知りたい方,最新の支援ツールを使ってみたい方,この機会にぜひご参加ください.

実際の開発現場にて,仕様の問題をお持ちの方,仕様に漠然とした不安感や無力感を感じていらっしゃる方も,ぜひ,一緒に話し合えたらと思います.

参加の条件:

上流工程の仕様記述に関心のある方 or 形式仕様記述の実用化に関心のある方

運営方法・備考:

事前

・アンケート(経験,興味関心,議論したいことなど)
・チュートリアル(Pre-formal ツールの体験,使い方ナビ)

当日

・仕様記述の実践(参加者が興味ある対象を記述)
・議論(形式仕様記述の応用技術の検討)

その他:

事前のチュートリアルと当日の仕様記述の実践は,各自のPCで行っていただく予定です.当日は以下のスペックを満たしたPCをご持参ください.

・OS:Windows or Mac
・ブラウザ:Chrome(推奨)
・インターネットに接続可能であること
 (当日はWiFiルータを準備する予定です)

メーリングリストのアドレス: ss2016-fm @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG9: 「アジャイルRCA+SaPIDによる障害分析から対策策定までの一気通貫プロセスの体験」

リーダ: 永田 敦 (ソニー),安達 賢二 (HBA)

概要:

2014年にSSで発表したアジャイルRCAは,障害分析においてはより早く確実に障害メカニズムを分析できることは現場の活動で示された.しかし,分析結果から,その障害の欠陥混入の防止を考えこと,つまり障害の再発防止や未然防止の策定には効果が上がらない場合があった.RCAで分析が必要な障害メカニズムはより複雑で,より対策が難しいからである.単にメカニズムを示しただけでは対策策定をすることができないことが分かった.

そこで,自律的改善手法で実績を上げているSaPIDを組み合わせて,一気通貫の障害対策プロセスを考えた.

本ワークグループでは,このプロセスをワークショップで参加者と体験をし,障害対策プロセスの議論をしていきたい.

参加の条件:

ポジションペーパ提出要.あまり人数が多いとワークショップ運用が難しいので制限したい.多い場合はポジぺでの審査もあり途中参加はご遠慮してもらう(途中参加はワークショップの性格上難しい)

運営方法・備考:

講義(2割)+ワークショップ(8割)

メーリングリストのアドレス: ss2016-rc @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG10: 「サイズ・・見積もってますか? - USDMで仮説見積もりと高精度のサイズ見積に挑戦しよう -」

リーダ: 清水 吉男 (システムクリエイツ,派生開発推進協議会)

概要:

みなさん! 見積もりってできていますか?

精度の高い見積もりはプロジェクトの成否を分けます.

一般に,要求仕様書から見積もる方法は知られていますが,その場合でも,要求仕様書を作成する作業は見積もられているでしょうか.また,要求仕様を作成する前にプロジェクト全体の見積もりを求められることがありますよね.

そんな時はどうしていますか?

USDMは精度の高い要求仕様の表現方法ですが,このWGでは,USDMの持つ幾つかの特徴を活かして,仕様化前の「仮説見積もり」から,作業の進捗の中で成果物の連鎖を活用して見積もりの精度を上げていく方法などについて,みなさんと一緒に考え,体験しましょう.

何よりも,サイズ見積もりには「シミュレーション効果」もあります.

参加の条件:

ポジションペーパーに「みなさんの現場での見積りの様子」や「見積り対するこれまでの思い」などを書いていただけると議論の中で参考にさせていただきます.また,FP法などの見積り方法に対する経験の有無なども書いていただけると議論が盛り上がると思います.

運営方法・備考:

最初に,見積りの経験などを話していただき,その後でUSDMの特徴などを説明します.さらに実際にサンプルを使って要求からの仮説見積りなどを体験し,その場で感想を述べあって議論していただきます.

メーリングリストのアドレス: ss2016-sd @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG11: 「ソフトウェア開発の現状と今後の発展に向けたディスカッション」

リーダ: 小笠原 秀人 (東芝)

概要:

今年は,ワーキンググループに参加しないという選択肢を用意していません.ソフトウェア開発に関するさまざまな発表をとおして,幅広く議論をしたいという方は,このワーキングを選択してください.途中での退席や途中からの参加もありとします.

なお,参加者が集まらずに開催できないワーキングがあった場合には,本ワーキングに吸収します.

参加の条件:

A4で4ページ以内にご意見(ご自身が関わっている,あるいは興味を持っている内容に関する悩み,アイデア,成果,計画,疑問など何でも)をポジションペーパとしてまとめ,投稿してください.また,当日は,投稿されたポジションペーパをベースにした発表をお願いします.

運営方法・備考:

初日は,投稿されたポジションペーパから事前にプログラムを決めて,発表と質疑応答を繰り返します.2日目は,初日に発表&議論した内容からいくつかの話題に絞り,議論を中心として進めていきます.

メーリングリストのアドレス: ss2016-se @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG12: 「D-Case」

リーダ: 山本 修一郎 (名古屋大学),小林 展英 (デンソークリエイト)

概要:

機能安全の取り組みの一環として保証ケースや安全性ケースの作成が組み込みシステム開発分野で進んでいます.

一方で,わが国では,HAZOP や FTA,FMEA などの既存の手法とこれらの手法との差異についてまだ理解が進んでいないため,具体的な開発手法として確立するまでにはいたっていないという現実があります.

このため,本 WG では,保証ケース (アシュアランスケース) や安全性ケースを導入する上での実践的な課題について,企業エンジニアと,研究者の交流の場を提供することにより,参加者の現状の課題を共有するとともに,今後の課題解決に向けた新たな方向性について議論します.

参加の条件:

とくになし.

運営方法・備考:

特記事項なし.

メーリングリストのアドレス: ss2016-dc @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

TS1: 「ソフトウェア開発チームのためのファシリテーション入門」

講師: 栗田 太郎 (ソニー株式会社),玉城 理恵子 (ニフティ株式会社),森 薫子 (株式会社 B)

概要:

栗田が昨年のレビューワーキンググループに参加をしたときに,それから冬の札幌での SEA Forum においてレビューについて議論したときに,ミーティング等の会の開き方やファシリテーション,それからお互いの感情への配慮の仕方に関する話題が少なくありませんでした.

レビューに限らず,ミーティングはたくさんあると思いますし,人と人が話したり,会話をしたり,議論をしたり,対話をしたり,何かを決めたり,やり方や気持ちに関する悩みがたくさんあるようです.

そこで,今回は,ファシリテーションに関するワークショップを通して,気軽なミーティングから,重厚な会議まで,レビュー会から,定例進捗会議,チームビルディング,はたまたシンポジウムの企画まで,人々が集まる会はどうあるべきかについて,参加者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います.

参加の条件:

ご参加の前提条件はありません.人々が集まる会について悩んでいる方,工夫している方,司会やリーダーやファシリテーターとして,あるいは一参加者としてミーティングに関わっている方,ファシリテーションについて一から学びたい方のご参加をお待ちしております.

メーリングリストのアドレス: ss2016-fc @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

TS2: 「パターン・ランゲージの再入門 再利用からクオリティの生成へ」

講師: 中埜 博 (CEST合同会社代表 コミュニティ・アーキテクト),懸田 剛 (ゼンソー代表 Agile459 (アジャイル四国) 代表)

概要:

近年,国内で再び注目を浴びているのがパターン・ランゲージです.

1980年代に発表された,建築家クリストファー・アレグザンダーらの「パタン・ランゲージ」.そのパタン・ランゲージをソフトエア開発に応用した「オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン」(原著は1995年,邦訳は1999年出版)を皮切りに,ソフトウェアパターンムーブメントが生まれ,PLoP(Pattern Language of Programs)コミュニティが日本を始め世界各国で立ち上がりました.

その後,数多くのソフトウェアパターンの書籍が出版され,様々な現場で使われてきて現在に至ります.

国内では,21世紀に入り一旦ソフトウェアパターンムーブメントは沈静化したように見えましたが,2010年から早大の鷲崎教授を中心にAsianPLoPが開催され,2007年頃から慶応大学の井庭研のパターン・ランゲージに関する活動が始まり,翻訳書でも「組織パターン」,「FearlessChange」,「エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計」といったソフトウェア開発の周辺でのパターン本が次々に出版され,再びパターン・ランゲージが注目されています.

それに呼応するように,提唱者クリストファー・アレグザンダーの絶版となっていた書籍が次々に再版され,「パタン・ランゲージ」シリーズの次作にあたる,生命の現象 (ザ・ネイチャー・オブ・オーダー建築の美学と世界の本質)も邦訳されました.

しかし,これまでのソフトウェア開発の現場でのパターン・ランゲージの応用については,暗黙知の形式知化と再利用性の部分に着目されすぎてきたため,パターン・ランゲージの使用については十分に語られていませんでした.

パターン・ランゲージは,複雑な状況の中で,当事者が望む未来を描き,デザインして生み出していく手法です.言い換えると,パターン・ランゲージは単なる過去のベストプラクティスや暗黙知のカタログだけではありません.むしろ重要なのは,その使い方にあります.実は,パターン・ランゲージの使い方の部分については,むしろデザインパターンよりもアジャイル開発にその影響が色濃く出ています.

本チュートリアルでは,デザインパターン,パターン・ランゲージの基本的な説明を行った後に,パタン・ランゲージの使い方の部分についての講義とワークを通じて,これまでのパターン・ランゲージの理解に足りなかった部分を補完し,ソフトウェア開発の現場において,より確かな成果をもたらすためのコツを提示します.

参加の条件:

「デザイン・パターン」に関心がある一般のソフトウェア開発関係者

運営方法・備考:

・中埜氏・懸田氏による講演
・簡単な演習課題によるワークショップ
・参加者によるディスカッション

その他:

事前に読んでおくと理解が深まる参考文献(必須ではありません):

講師紹介:

中埜 博 (なかの ひろし)

CEST合同会社代表. コミュニティ・アーキテクト.

カリフォルニア大学バークレー校環境設計学部建築学科大学院修了.

クリストファー・アレギザンダーの在日代表として,日本での「盈進学園建設」の設計施工監理(1982~86),和歌山県白浜町活性化事業において,マスタープラン策定事業,それに関わる8 件の建築設計施工(1993~96),東京都台東区谷中銀座商店街リニュアル設計,施工,管理.

その他パタンランゲージの考えで,タウンマネージャーとして,様々な地方都市事業計画を歴任.

著書に「パタンランゲージによる住まいづくり」,監訳書として「パタンランゲージによる住宅の生産」「ネイチャーオブオーダー」(ともにクリストファー・アレギザンダー著),電子ブックレットとして「やわらかいパタンランゲージ」など.

懸田 剛 (かけだ たけし)

ゼンソー 代表

Agile459 (アジャイル四国) 代表

2000年よりデザインパターン,アジャイルを学び,個人事業主,永和システムマネジメント,チェンジビジョンにおいて,システム開発,プロダクト開発を行う中で実践する.

その過程で源流であるパタン・ランゲージの奥深さを中埜博氏を通じて学び,2010年よりパタン・ランゲージ自体の啓蒙・普及も始める.

IPAの「アジャイル型開発におけるプラクティス活用事例調査」では,アジャイル開発のプラクティスをパタン・ランゲージを参考にまとめた.

ゼンソー
個人ブログ

メーリングリストのアドレス: ss2016-pt @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

メーリングリストのログを取得する方法

メーリングリストのアドレスの名前の末尾に "-ctl" を付加してこれを宛先として,メールの本文の先頭を get 1-last としたメールを送ると,ログを取得することができます.

例えば,WG1 (「自律的な成長力の育成」) の場合,メーリングリストのアドレスが ss2016-ed @ sea.jp ですから,宛先は ss2016-ed-ctl @ sea.jp,本文は get 1-last となります.

このときに,メーリングリストに登録されたメールアドレスからしか取得できませんので,ご注意ください.

get の代わりに help を送ると,メーリングリストの使い方が返送されます.