ソフトウェア・シンポジウム 2013 ワーキンググループ

ソフトウェア・シンポジウム 2013 で 8 年目を迎えるワーキンググループでの活動は,ソフトウェア技術にまつわるさまざまなテーマや課題に関する発表,議論を行うことで,参加者やグループがそれぞれの方向性を見いだしていくための場です.

WG1: 「システム開発文書品質」
WG2: 「KAOS 手法の実際とソフトウェア開発への新しい取り組み」
WG3: 「形式手法の最新技術と産業界での適用」
WG4: 「D-Case 実証評価」
WG5: 「ソフトウェアの品質保証 (SQA)」
WG6: 「21 世紀型の技術者育成を考える」
WG7: 「ソフトウェア保守の帰還」
WG9: 「要求プロセスと技術」
WG10: 「ソフトウェアと文化 ~なぜ,いま「文化」か?」
WG11: 「Agile 開発」
WG12: 「ソフトウェアテスト」
(順序不同)

WG1: 「システム開発文書品質」

リーダ: 坂本 佳史 (システム開発文書品質研究会,日本 IBM),清水 吉男 (システム開発文書品質研究会,システムクリエイツ)

概要:

システム開発文書とは,エンタープライズシステムや組込みシステムの開発過程で作成・活用される要求仕様書やアーキテクチャ仕様書,検証計画書などの技術文書を意味します.それらの文書群の品質に対する研究を活性化させ,システム開発の効率化や品質向上に寄与することを目的として 2011 年 7 月に設立した「システム開発文書品質研究会」 (ASDoQ: Association of System Documentation Quality) では研究活動を行なっています.

近年,システムの信頼性や機能安全等で,文書成果物に対する関心が高まっています.しかし,それらの文書に求められる品質は十分に明らかにされておらず,体系化も進んでいません.またソフトウェアの開発においてはモデル,形式手法等の技術適用が普及しつつあります.しかしながらそのような環境下において必要となる文書が満たすべき品質はこれまでの開発文書と同様であるかも明らかではありません.更にシステム開発においては差分開発を広範囲に適用することによる文書成果物の削減が文書の価値そのものに疑問を投げかけている現実があります.

本ワーキンググループでは,このようなシステム開発文書に関連する課題と,文書品質をいま一度再認識するような機会を設けたいと考えています.加えて ASDoQ にて検討中のシステム開発文書の品質定義案を配布し,ご参加の皆様からのご意見も頂きたいと考えています.

開発文書の品質にご興味のある方々の相互の課題共有も含め大いに議論したいと思います.皆さんのご参加をお待ちしております.

運営方法・備考:

参加希望者はポジションペーパーとして,「発表したいこと」あるいは「議論したいこと」あるいは「PR したいこと」もしくは「開発文書で困っていること」のいずれかを (複数可) を A4 サイズ 1 枚に纏めてご提出頂きたいと思います.

メーリングリストのアドレス: ss2013-dq @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG2: 「KAOS 手法の実際とソフトウェア開発への新しい取り組み」

リーダ: 伊藤 昌夫 (ニルソフトウェア)

概要:

よく知られた KAOS 手法は,ゴール指向要求工学に位置づけられます.しかし,ライフサイクルの他の領域 (例えば設計) にも適用可能な拡張性を持っています.また,プロダクトラインおよび安全性への対応があり,それ自身である種の形式性を持っています.かなり包括的な手法になります.まずは,今回の WG を通じて実際に (入門程度ですが) 経験して頂こうと考えています.構成としては KAOS の概説があり,例題をみなさんで解く時間があって,最後に議論しようと思います.基本的にはワークショップ的な集まりになります.議論では,KAOS 手法への評価ということもありますが,広く開発全般への取り組みについて KAOS 手法を題材に議論できればと思います.

運営方法・備考:

ポジションペーパーを提出して頂く予定です.また,例題を解くときには,ツールを使って頂く予定です.

メーリングリストのアドレス: ss2013-ka @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG3: 「形式手法の最新技術と産業界での適用」

リーダ: 中津川 泰正 (フェリカネットワークス),佐原 伸 (法政大学),酒匂 寛 (デザイナーズデン)

概要:

ソフトウェア開発現場では,品質の高いソフトウェアを効率よく組織的に開発する手法が求められています.本ワーキンググループでは,高品質のソフトウェア開発技法として実績のある形式手法について,その最新技法の紹介と,適用方法の紹介,そして今後どのように高品質のソフトウェア開発を進めていくかについて話し合いたいと思います.また,組織的な形式手法の導入事例に限らず,個人で気軽に使うことができるような形式手法の使い方など幅広く議論することができたらと考えます.議論の対象とする形式手法は,今のところ,VDM・Event-B・CafeOBJ・SPIN・NuSMV・Coq などを想定しています.

運営方法・備考:

ポジションペーパーの提出をお願いします.

メーリングリストのアドレス: ss2013-fm @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG4: 「D-Case 実証評価」

リーダ: 松野 裕,山本 修一郎 (名古屋大学)

概要:

ディペンダビリティケース (D-Case) やアシュアランスケースが,ISO 26262 などに代表される機能安全規格の観点から注目されています.しかし,D-Case を実際のシステム開発に導入する上での課題について必ずしも明確ではありません.このため,本ワーキングでは,D-Case の研究者と開発者とによるオープンな議論の場を提供することにより,D-Case についての初歩的な疑問から実践上の課題まで幅広い話題について意見交換します.なお,ワーキングの冒頭で,簡単なチュートリアルを参加者に提供して,D-Case についての理解を深めていただきます.

運営方法・備考:

ディペンダビリティケースの適用に興味があること,システムの安全,安心,その保証 (アシュアランス) などに興味があることが参加の条件です.

メーリングリストのアドレス: ss2013-dc @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG5: 「ソフトウェアの品質保証 (SQA)」

リーダ: 村上 勝則 (エヌ・ティ・ティ・データ),奈良 隆正 (NARA コンサルティング)

概要:

このワーキングでは,ソフトウェアの品質保証活動にかかわる様々な視点・立場から新たな気付きを得られる場にしたいと考えます.

品質保証活動を取り巻く環境はここ数年でオフショアや反復開発,派生開発,クラウド化などに対して向けられるようになり,品質をとらえる視点が大きく変化しました.また,ソフトウェアの作り方においても,資源の再利用やツールなどを活用することで,これまでよりも短い期間での開発を求められるようになっています.

このような環境において,新たな技術や開発手法などを取り入れる一方で,皆さんの周りにおける品質保証のやり方はどう追随していますでしょうか.

このワーキンググループでは,そのような開発の変化に応じた品質保証の進め方や工夫の仕方について,参加頂いた皆さんからの現場の声を集め,それが一つでも多く皆さんに役立てられるものでありたいと考えています.

運営方法・備考:

SQA にかかわる現状の課題や参加メンバーと議論したいことなど,ポジションペーパーにまとめてご提出ください.

メーリングリストのアドレス: ss2013-sq @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG6: 「21 世紀型の技術者育成を考える」

リーダ: 米島 博司 (パフォーマンス・インプルーブメント・アソシエイツ),諸岡 隆司 (中電シーティーアイ)

概要:

不透明で混沌とした社会背景の中で,10 年後に求められる技術者のスキルとは何か? 21 世紀型スキルをキーワードに,創造性やアジャイルといった資質が問われる中,次世代のソフトウェア技術者,あるいは広く技術者達に求められるスキル,能力にはどのようなものがあるだろうか? またそうしたスキル,能力を育成する教育のあり方はどのようなものか? 現在のソフトウェア業界,技術動向などを振り返りつつ,来るべき将来の社会の姿を描きながら,参加者全員で討論を行う.

運営方法・備考:

基本的に参加者はスライド一枚程度のポジションペーパーを 6 月末までに提出する.

メーリングリストのアドレス: ss2013-ed @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG7: 「ソフトウェア保守の帰還」

リーダ: 高橋 芳広 (ソフトウェア・メインテナンス研究会)

概要:

今まで,ソフトウェア保守が重要であることは一部の人に認識されていたが,十分な関心が払われていなかった.そのことは,短納期が要求されるソフトウェア開発では,将来の保守性よりも,目先のスケジュールやコストが優先されることには止むを得ないことでもあった.謂わば,ソフトウェア保守は暗黒面 (Dark Side) に堕ちていたのであった.

しかしながら,昨年暮れに発生した笹子トンネル事故により,建築物をいかに保守するか,保守のしやすい構造とは等,保守に対する興味関心が高まっている.今まさにソフトウェア保守が光を取戻す好機が訪れている.

この契機を生かし,元気な保守者 (組織) に戻るため,ソフトウェア保守の特徴,新技術,評価方法,キャリアパス,ビジネスモデル等々を議論し,提言をまとめる.

ソフトウェア保守に関心のある皆様のご参加をお待ちしております.

運営方法・備考:

事前に議論に参加する立場,議論したいことを A4 1 枚程度にまとめたポジションペーパーを提出してください.WG の最初時間に参加者みなさんに説明して頂きます.

メーリングリストのアドレス: ss2013-ma @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG9: 「要求プロセスと技術」

リーダ: 中谷 多哉子 (筑波大学)

概要:

企業におけるソフトウェア開発では,設計やテストの技術が進化発展するに従って,要求プロセスにおける課題が浮き彫りになってきた.このワーキンググループでは,技術者やプロジェクト管理者が抱えている要求プロセスにおける課題を共有するための方策,課題解決に向けた技術が備えるべき条件,そして,それらの技術を適用するプロジェクトの文化の変革について討論する.

具体的には,要求獲得技術,要求獲得プロセス,顧客 (ステークホルダ) の協力,開発者と要求者との間の情報共有の実現,要求の品質の定量化など,参加者に予め提出して頂く討論テーマと,それに対する意見に基づいて,関心の高い課題に注力して討論を行う.

運営方法・備考:

討論テーマを選択し,それに対する意見をポジションペーパーとして提出して頂く.自社の手法や個人的な手法などを宣伝,推奨する場ではなく,広く,公平に要求プロセスを議論することを希望する方の参加を求める.

メーリングリストのアドレス: ss2013-re @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG10: 「ソフトウェアと文化 ~なぜ,いま「文化」か?」

リーダ: 岸田 孝一 (SRA),佃 均 (IT 記者会)

概要:

産業革命以後,20 世紀の半ばまで,人々の暮しや価値観,ひいては社会の構造や文化のありようは,エネルギー革命と技術革新によって変化してきました.これに対して 1960 年代以後のコンピュータの普及によって到来した「情報化社会」は,無形プロダクトとしてのソフトウェアが社会変革のエンジンとしてウエイトを増したことを意味しています.

21 世紀に入って表面化したインターネット革命は,どのようにして旧来の社会構造を変えて行くのでしょうか.Facebook に代表されるソーシャルメディアは,そのさいどのような役割を果たすのでしょうか.書く道具としてのワープロ,読む道具としての電子ブックが文化をどのように変えてゆくのかも興味深いところです.

現在の社会は,IT がなければ成り立たないという意味で,まさに「IT 社会」ということができます.しかしながら,ソフトウェア開発という仕事は,就業者 1 人当りの売上高/純利益が年々減少し,決して社会・経済の担い手 (ないしリーディング・インダストリ) とはなっていません.ソフトウェア・プロダクトの価値,それを作り出す無形労働としてのソフトウェア開発という仕事の意義は,今後どのように位置づけられて行くのでしょうか.

この WG で議論したいことがらの候補は以下の通りです.

・これからの社会の構造や文化はどう変わるか (組織と個人の関係 etc.)
・そこでのソフトウェア (ソーシャルメディア etc.) が果たす役割
・ネイティブ・デジタリアンにとってのソフトウェアの意味
・社会・経済・文化に対してソフトウェアの与える影響
・ソフトウェア・エンジニアと産業の立ち位置

運営方法・備考:

参加を希望される方は「ソフトウェアと文化」または「ソフトウェアと社会」 について,自分が思うことを何でもいいので書いてください.A4 1枚,1,000 文字程度.当日の討論は,最初に 2 人のリーダが,参加者からのポジションペーパーを参考にしながら,ひとりはプログラマ&アーティストの立場から,もうひとりはフリーの IT ジャーナリストの立場から問題提起を行ったのち,全員で自由討論を展開していくつもりです.

メーリングリストのアドレス: ss2013-ca @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG11: 「Agile 開発」

リーダ: 端山 毅,柴山 洋徳 (エヌ・ティ・ティ・データ)

概要:

日本における Agile 開発,特に Scrum への取り組みはますます活発になり,新規の製品開発での取り組み,ソーシャルゲーム業界での活用,大手 SIer での組織的な導入など,急速に事例が増えています.

その一方で,先進的に取り組んできた欧米を中心に,形だけの Agile 開発,すなわち本来の Agile 開発のメリットを効果的に享受できていないケースが増えてきている点が問題視されており,「エンタープライズ Agile」と言われる企業への組織的な Agile 開発導入のための取り組みや議論が盛んに行われています.

本 WG では,Agile 開発を効果的に実施するためには,どんな点に注意すれば良いのか,どんな課題を解決すべきか,を議論したいと思います.

運営方法・備考:

当日,Agile 開発に関する関心事,議論したいことを各自表明して頂きます.

メーリングリストのアドレス: ss2013-ag @ sea.jp (ログを取得する方法については,こちらをご参照ください.)

WG12: 「ソフトウェアテスト」

リーダ: 柏原 一雄,奥村 健二,名野 響,矢野 恵生,村松 直幸,江嵜 由華 (TEF 東海)

概要:

「より良いものを作りたい.でも何から手をつけて良いのかわからない」と悩んでいる方がたくさんいらっしゃると思います.ソフトウェア開発に携わる人は世界中で何十万人もおり,同じ悩みを他の誰かが抱えていることも多いはずです.さらには,他の誰かが既に解決した悩みかもしれません.

そこで,本 WG は,「ソフトウェアテスト」を題材にして以下を共有し,意見交換を行います.

・感じている負担・不満・不安
・過去の取り組み
・最近始まった取り組み

皆さんが抱えている課題や問題を解決するためのヒントを探っていきましょう! そして,本 WG が参加者全員にとって,良い意味での「岐路」となることを目指します.

「ソフトウェアテスト」は,テストエンジニアでも開発者でも,若手でもベテランでも,ある程度共通の知識を持っていると思いますので,どんな立場の方でも気軽に意見交換が出来るのではないかと思っています.また,本 WG のオーナーも,20~30 代の若手がメインです.

日頃,負担・不満・不安を感じている若手エンジニアの皆さん! お気軽にご参加ください!!

運営方法・備考:

以下の内容を盛り込んだポジションペーパー (A4 一枚) の提出をお願いします.

・普段の仕事での立場
・ソフトウェアテストに関して現在抱えている問題・悩み (10 個程度)

当日,ポジションペーパーの内容を LT 形式で最初に発表していただきます.

メーリングリストのアドレス: ss2013-te @ sea.jp (ログを取得する方法については,以下をご参照ください.)

メーリングリストのログを取得する方法

メーリングリストのアドレスの名前の末尾に "-ctl" を付加してこれを宛先として,メールの本文の先頭を get 1-last としたメールを送ると,ログを取得することができます.

例えば,WG1 (「システム開発文書品質」) の場合,メーリングリストのアドレスが ss2012-dq @ sea.jp ですから,宛先は ss2012-dq-ctl @ sea.jp,本文は get 1-last となります.

このときに,メーリングリストに登録されたメールアドレスからしか取得できませんので,ご注意ください.

get の代わりに help を送ると,メーリングリストの使い方が返送されます.