ソフトウェア・シンポジウム 2013 基調・招待講演

オープニングキーノート

タイトル: 「産学連携によるイノベーション人材の育成とソフトウェア技術者協会の役割」

講演者: 北陸先端科学技術大学院大学 副学長 高信頼組込みシステム教育研究センター長 落水 浩一郎氏

概要: 産業界のニーズに応えうる研究開発能力と技術力を有する人材の育成は重要である.そのための一つの手段としての産学連携のありかたを提案する.とくに,実りある場を提供できる組織としての,ソフトウェア技術者協会への期待を述べる.

招待講演

タイトル: 「岐阜から森林を考える」

講演者: 岐阜大学 副学長 応用生物科学部 教授 小見山 章氏 (ご専門は:森林生態学)

概要: 岐阜県は自然に恵まれた県です.森林は,照葉樹林・夏緑樹林・亜高山帯林まで,多様な姿を見せてくれます.森林本来の分布様式と現実の姿をお見せして,岐阜県の森林が現在の姿を示す経緯について解説いたします.

クロージングキーノート

タイトル: 「京による細胞シミュレータの開発 -超大規模イメージベースドモデリングの展開-」

講演者: 理化学研究所 光量子工学領域 画像情報処理研究チーム 横田 秀夫氏

概要: 2012 年の「京」の開発により,我が国は 10 Peta Flops もの超大規模並列計算能力を持つスーパーコンピュータを手にした.この開発プロェクトでは,ハードウエアの開発と共用利用可能な仕組みの開発と共に,京による圧倒的な計算能力により初めて解析がとなるシミュレータの開発も実施されてきた.グランドチャレンジ次世代生命体統合シミュレーションは 2012 年度の開発期間において,これまで解析する事が出来なかった複雑な生命現象を対象としたシミュレーションの実現を目的に,31 本ものシミュレータの開発に成功した.

演者らは,細胞内に生じている現象を解明する細胞シミュレーション統合プラットフォーム RICS の開発に成功した.言うまでもなく,細胞は生命の最小単位であると共に,生きているという複雑な現象が生じている.この現象を,化学反応,物質の移動,膜電位,電位といった個別な事象として表記して,これらを連成してシミュレーションする仕組みを構築した.さらに,細胞内に存在する構造体でかつ反応の場であるオルガネラを考慮した時空間シミュレータを開発した.このシステムにより,細胞内や細胞の集団である組織内における反応を計算することが可能となった.本講演では,開発の目的とシステムについて紹介させていただく.