系列製品開発のための再利用

担当プログラム委員: 山内 和幸
ML: ss2009-reuse

概要

ソフトウェアシンポジウムでは、これまで「組込み」WGとして、 組込みソフトウェア開発に関する様々な問題に対して議論を行ってきた。 従来「組込み」というと、ハードウェア制約の厳しい、小さなシステム というイメージがあるが、近年ではユーザニーズの多様化、企業を取り巻く 環境の変化、開発技術の進歩等の影響で、ソースコード行数にして100万行を 超える組込みソフトウェアも珍しくない。このため近年では、「大規模化・複雑化する 一途の組込み製品、特に同系列多品種の並行開発の環境において、 組込みソフトウェア開発はどうあるべきか?」という点について、 白熱した議論が展開されてきた。しかしながら、「組込み」という スコープでは議論の焦点が絞り切れず、踏み込んだ議論とならずに 終わってしまった感が否めない。このため、今年はWG名を変更し、 議論の範囲を絞り込みたいと考える。またここ2年ほど、 ソフトウェアプロダクトラインに関する話題がWGでも大きく 取り上げられていることから、その背後にある「再利用」について、 焦点を当ててみたい。

再利用WGでは、以下に挙げる点について議論を行いたいと考えている。 ただし、この論点に囚われる必要はなく、産が抱える再利用に関する問題の 究明や解決策の模索、産学の連携テーマの探索等であれば、臨機応変に議論していきたい。

* そもそも、「再利用」とは何か?

再利用という言葉自体の受け取り方に、統一的な見解はないように思われる。WGでの議論に先立ち、このWGで対象とする「再利用」を定義する。

* 実際に、再利用は上手くいっているのか、あるいは上手くいくのか?

冒頭で定義した「再利用」について、産では実際に上手くっているのかどうかについて、その実情を把握したい。

* 効果的な再利用を阻む要因は何か?

再利用が上手くいかない状況においては、様々な理由があると考えられる。 技術的な問題か、経営上の問題か、あるいは政治的な問題か、または人的な問題か等、 再利用を阻害する要因と、それが何故発生するのかを探りたい。その上で、 これらの要因を解消する術を議論したい。

* 何を再利用すればよいのか?

再利用により効果を上げている企業では、何を/どのように再利用しているのか、 また上手くいっていない企業では、何が再利用できていないことが問題なのかを議論することで、 効果的な再利用のスコープを探る。

* 技術で再利用は促進できるか?

近年、ソフトウェアプロダクトライン(SPL)やドメイン固有言語(DSL)といった、 再利用をその理論のバックエンドに持つ技術が注目を集めている。こういった技術は、 真に企業での再利用を促進させることができるのか、他に有用な技術として どのようなものが必要か等について議論したい。

* 産が学に真に期待することは何か?

再利用促進のために、産が本当に学に求めているもの、 または求めるべきものは何なのか、それに対して学はどのように 応えていくことができるのか等について議論したい。

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